第49話 「《影葬の追跡》一分経過の空気から二分目へ」
お疲れ様です!
さあ、物語のボルテージがどんどん上がってきましたよ!!
「影葬の追跡」開始そうそうお互いで高度な知能戦が繰り広げられております!
二の牙の挑発に乗らず、【無銘の牙】の面々はやつを出し抜くことができるのか!!!
彼らがどこまで「一の牙」&「二の牙」に己の牙を突き立てることができるのか!!!
こうご期待ください!!!
また、頭の中でイメージしながら読み進めると物語とシンクロして面白いですよ(^^♪
最弱と呼ばれた従魔たちがどこまで進化するのか――
牙の刻が、これからも続いていきます!
赤黒い月の下、ひび割れた結界空間は、まだひときわ重苦しい静寂をまとっていた。
ルール説明が終わり、ヴァルグの宣言とともに遊戯が幕を開け、二の牙は「お先に失礼する」と薄笑いを残して影に消えた。
そして今、三分間の猶予のうち一分が経過しようとしている。
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足場となる岩肌は、今なお「生き物」のようにうねり、ひび割れた裂け目からは冷気が立ちのぼっていた。
その冷気は人の視界を曇らせ、幻影と現実を判別しにくくしている。
ナナシたちは散開しつつも、互いの気配を「電気回廊パス」とハンドサインで結び合い、常に位置と状況を共有していた。
「……動きはないな」
裂け目の影を探るルルカが、長い尾を揺らして低く呟く。
「むしろ、あからさまに静か過ぎるね。二の牙のやつ……わざと気配を断って、こちらを焦らせてるのかも。」
ミミが犬耳を震わせながら、冷たい声を漏らす。握った爪先には、微かな電流が走っていた。
プルリは半透明の体をぷるぷると震わせながら、岩の窪みに張りついて気配を殺していた。
彼女の身体は瘴気を吸い取り、そのわずかな揺らぎを「違和感」として感じ取っていた。
ミミは閉じた瞳の奥で、淡い電流を額から放ち続ける。
彼女の《電気回廊パス》は、言葉を使わず思考をつなぐための「無音の通信網」として機能していた。
そこに、ナナシの声が皆の頭に響く。
――フム……やはり、奴は「姿を消す」だけでなく、感覚までも狂わせている。
――だが、この静けさ自体が逆にヒントになる。普通なら、せめて微かな痕跡を残すはずだ。
――つまり……二の牙は、この場にいながら「空間そのものに紛れている」と見るべきだな。
無銘の牙の面々は、無言で頷き合う。
指先や尾が小刻みに動き、ハンドサインで「次の探索行動」を決めていった。
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その時だった。
空気が一瞬、粘性を帯びたように重くなる。
耳鳴りのような残響がどこからともなく届き、結界そのものが囁くかのような声が響いた。
「ククク……良いぞ、良いぞ。実に連携が取れている。
愚か者どもが単純に突っ込んでくると思ったが……予想を裏切られるのは嫌いじゃない」
――二の牙だ。
だがその声は、右からも、左からも、頭上からも、同時に聞こえる。
空気の振動そのものを利用した「幻声」の術。
方向感覚を狂わせ、居場所を掴ませない。
「声で煽ってきたか……」
ナナシは短く息を吐く。
「ククク……その眉間の皺がたまらんな、小僧。必死に頭を回している顔は、なかなか美味だ」
「だが、まだ浅い。お前たち《無銘の牙》が名を馳せるのは、ほんの偶然にすぎぬのではないか?」
挑発するような声音に、ルルカが鋭く牙を覗かせて低く唸る。
「偶然なんかじゃない!……私たちは牙を持ってる!!」
だがミミが尾を振り、ルルカを制した。
「乗っちゃだめ!あいつの狙いはそこだよ。」
ナナシも笑って言い放つ。
「さっきも言っただろ。気をつけろって。 俺らを舐めてると痛い目見るぞってな!」
瞬間、わずかに二の牙の声が低くなる。
「……フフ。減らず口だけは達者だ。だが、その気概……嫌いではないぞ」
その声音には、嘲弄だけでなく、微かな「興味」と「評価」が混じっていた。
仲間たちは互いにサインを交わし、次の行動に移る。
プルリは小柄なスライムの体で瓦礫の隙間に潜り込み、地面に残る影の揺らぎを調べる。
ミミは感覚を研ぎ澄まし、電流を走らせて周囲の磁場の異常を検知する。
ルルカは長い尾を地に叩きつけ、振動を通して足跡や空間の歪みを感じ取ろうとする。
それぞれの探知は、ほんの僅かずつだが「不自然な乱れ」を指し示していた。
――(ナナシ)なるほど……バラけた痕跡が、かえって「中心点」を浮かび上がらせる。
――(ナナシ)つまり、二の牙は自らを「無」に見せかけるために、意図的に小さな矛盾を散らしているのか。
脳裏に浮かんだその推測を、ナナシは電気回廊パスで仲間たちに伝える。
返ってきた反応は一様に同意の意。
その時、再び二の牙の声が降ってきた。
「ククク……良い、実に良いぞ。《無銘の牙》よ。
お前たち、やはり名ばかりではないらしいな。
少しは、退屈を忘れさせてくれるかもしれん」
その声音には、先ほどよりも確かな「評価」の色が濃く混じっていた。
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赤黒い月が空に沈黙を落とす。
空気はますます重く、影は濃くなる。
猶予の三分。そのうちの二分目が、静かに流れようとしていた。
――だが、ナナシたちは分かっていた。
残る一分を超えれば、ヴァルグと影狼の群れが「追跡者」として動き出す。
その前に、二の牙の正体を暴かなければならない。
裂け目に身を潜めていたプルリが、ぷるぷると震えながら小さな気泡を弾けさせる。
ミミは青白い電流を走らせ、磁場の乱れを描く。
ルルカは瞳を狭め、鋭い爪で地面を叩いてリズムを刻む。
それぞれが、確かに「矛盾の断片」を掴みかけていた。
ナナシは短く息を吐き、仲間たちへとハンドサインを送る。
「ここからが本番だ――二の牙を炙り出す!」
その決意とともに、二分目が始まろうとしていた。
――続く――
ここまでお読みいただきありがとうございます!
さらに加速する“牙の伝説”をどうぞお楽しみに!
次話の投稿は、明日朝6時30分の予定です!('ω')ノ
え!?明日が何で早いかって?
それは、明日が土曜日だからさ!(*'▽')('ω')($・・)/~~~
明日は連チャン投稿もあるかもしれませぬ!
無理なく投稿する予定ですん♪
引き続き『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』
略して『ナナクラ』をよろしくお願いいたします(^^)/




