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『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』  作者: 焼豚の神!
第2章:『雷牙の狩場 ―覇雷獅王との邂逅―』
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第13話 「顕現せし《牙》の咆哮」

お疲れ様です!通勤&通学お勤めご苦労さまです!!


今話では、いよいよ《獣王子ビーストロード》が顕現します!


そして今話が今後のストーリーの展開を握るカギとなります!

何が隠されているのか見つけてみてください!


最弱と呼ばれた従魔たちがどこまで進化するのか――


牙の刻が、これからも続いていきます!

沼地に広がる影が裂かれ、世界が微かにきしむ音を立てた。


ナナシ、プルリ、ミミ、ルルカ――《無銘の牙》の面々はついに《黒衣奉纏》を破壊し、深く沈み込んでいた影の鎧を砕いた。


それは封印だったのか。それとも、抑圧か。


砕けたその瞬間から、まるで大気そのものが警鐘を鳴らすかのように揺らぎ出す。


「……やった?」


ミミが呟く声に、誰も即座に応えられなかった。





***





代わりに、沈黙を破るように、沼の中心から黒い影がもうもうと立ち昇る。


地を這うような濃密な黒煙。 その中心に、異形の“気配”があった。


「……まだ、終わっていない。」


ナナシが呟いた刹那、その“気配”が笑った。


「誇れ……《牙の子》らよ。」


低く、地の底から響くような声音。 けれど、どこか艶めきと威厳を帯びていた。


黒煙が荒ぶり、渦を巻く。風が吹き荒れ、突風が大地を切り裂くように吹き抜ける。


「我、顕現するまでにやられるでないぞ?」


黒煙の奥から声が続く。


「顕現するにあたり、いくつか制約がある……。故に、其方らが燃え尽きては困るのだ。我が完全なる姿を見届けよ、無銘なる者たちよ!」





***




その瞬間、空が叫んだ。


ゴロゴロゴロゴロ……!


雲が裂け、白雷が奔る。


空がまるで割けたかのように、眩い白雷が無数にほとばしり、大地を焦がすかのような気配を放っていた。


それは警告ではなかった。破壊の前触れだった。


白雷の奔流が、集落へと向かう。瞬く間に上空を覆った雷雲から、閃光が地へと突き刺さる。


「雷が……!村に……!?」


ミミが叫ぶ。


村――それは、今や逃げ惑う人々の阿鼻叫喚声で溢れ返っていた。


「お母さんっ、どこーっ!?」「火が……空から火が……!」「ひいっ、雷が……っ!」「神様!守護者様!!!オラたちを守ってけろ!」「もう、お終めぇだ!」「早く逃げて!火が燃え移らないところへ!(フフ、実に人間とは脆いものだねぇ。)」 「あの時と一緒だ!」「伝承に合った一夜にして国が滅んだっていう噂、あれが今なのか!チクショウッ!!」「どこに逃げろって言うんだよ!」「あんな量の雷だぞ!?逃げ場なんてどこにも!?」「ううぇへはhるうえいりゃいえるうぃ(錯乱する者)」「!!!!(祈る者)」「短い生涯だった」「!!!!(祈る者)」「!!!!(祈る者)」「あの時と一緒だ!」「どこに逃げろって言うんだよ!」「どこに逃げろって言うんだよ!」「もう、お終めぇだ!」「もう、お終めぇだ!」「もう、お終めぇだ!」「火が……空から火が……!」「ひいっ、雷が……っ!」「火が……空から火が……!」「ひいっ、雷が……っ!」


子どもを抱えて走る者、叫びながら倒れる老婆、男たちの怒号と悲鳴。


家屋の一部が燃え出し、火の粉が風に舞っては燃え広がる。


「……やば……い、皆が……っ!」




「プルリ、ミミ、ルルカ!村へ行け!雷を迎撃しろ!集落のみんなを守れ!」


「ぷる……任せ……て、ばき……ばき……っと……割る……!」


「ミミも……音の……軌跡、読み……取る……!行く……よっ……!」


「ルルカ、……行く……!羽、……しっぽ……ちぎれ……ても、……守る……!」


三体の魔物たちは、一斉に空へと舞い上がった。



「優先順位は、己の命第一!それを頭に入れて集落のみんなの救助と避難、そして雷の迎撃を頼む!プルリ、ミミ、ルルカ!!!」




「「「ガウッ!!!」」」





プルリは雷の落ちる瞬間を見極め、その身体から伸ばした水の盾を幾重にも張り巡らせ、雷を吸収する。


ミミは鼓膜で音の動きを読み取り、雷のルートを察知。魔音の波動で雷の進路を逸らし、建物を守る。


ルルカは羽を広げ、まるで風の精のように飛翔しながら、燃え広がる火を吹き消していく。舞い落ちる炎の粉を風で巻き上げ、火の海を遮断する。


白雷は止まない。それでも、三体の魔物たちは守り抜いた。






***






やがて……


轟きが止んだ。


雲が散り、空が再びその青を取り戻す。


嵐のような白雷が静まり返る。


静寂。


その時――


「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「……守護者様だ!(クク♬あれが牙の子らか)」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」

「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」

「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」「……守護者様だ!」「守護者様が、私たちを守ってくださった!」



村の人々が、地に膝をついて祈るように頭を垂れた。


「ありがとう……ありがとうございます……!」


「この命は、守護者様のもの……!」


「神様……!あの魔物たちは神の使いに違いない……!」


涙を流し、両手を合わせて拝む者。


身体を震わせながら、ひれ伏す者。


三体の魔物――プルリ、ミミ、ルルカは、困惑したように顔を見合わせた。


「ぷ、……ぷる……? なん……か、変な……目で……見ら……れてる……」


「ミミ、耳が、熱い……視線が……まっす……ぐす……ぎる……」


「ルルカ、無理!無理……無理! こ、こん……なの……慣れて……ないっ……!」


耐えきれなくなった三体は、ほぼ同時に背を向けて走り出した。


「「「ご主……人様ーッ……!!」」」


泣きそうな声で叫びながら、まるで子どものようにナナシのもとへと逃げ帰る。


その背を、村人たちがなおも畏敬の眼差しで見送っていた。


――守護者様。


人々の心に、その名が深く刻まれた瞬間だった。






***





その間にも、ナナシは残った黒煙の核――そこにいる何かを見据えていた。

時折飛んでくる白雷を大検でたたっ切ったり、メイスで打ち上げたり迎撃して森へ火の手が回らないように細心の注意を払いながら、影を注視していた。



やがて……。


しん……と、空が静まった。


白雷の嵐が止んだ瞬間、世界が一瞬だけ静寂に包まれる。


黒煙も、風も、全てが静かに。


そして、ナナシの前に、それは現れた。


――銀髪の少年。


その姿はあまりに人間的だった。 艶やかな銀の髪。紅い双眸。 身に纏うは黒銀の装束。だが、その空気だけが異質だった。


ただの人間が持つはずのない“重み”。 空気を圧し潰すほどの威圧感。


「お前が……《獣王子ビーストロード》か?」


ナナシの問いに、銀髪の少年は微笑む。 口の端を吊り上げる、獣のような笑み。


「その問いに答えるのであれば――」


彼は一歩、踏み出す。 大地がわずかに鳴く。


()()()()()()()()()()()()()()


「ビーストロードという名……それは人間たちが勝手に呼んだ“通称”に過ぎぬ。」


ナナシの目が細められる。


「じゃあ……あんたの、本当の名は?」


問いかけに、銀髪の少年が笑う。


「良かろう。これは褒美だ。我が姿をここまで引き摺り出した貴殿らに与えよう――」


黒煙が渦を巻く。 少年の周囲を旋回し、巨大な獣の咆哮のように響き渡る。


「我が名は、《刻環十二聖王座 (アルザ・セイ=クリオス)》第三柱――」


風が裂け、雷が揺れた。


「《雷爪の獣王バリシャ様》の一の牙――」


一瞬、銀の髪が爆ぜるように揺れ、彼の背に“何か”が宿った。 それは獣の輪郭。白銀の雷を纏う、六肢の獣影――


「――白雷の銀大狼《()()()()()()()()()()()》と申す!」


ナナシは目を見張った。


言霊のように空を震わせるその名は、世界に刻まれた重力を持っていた。


そして《外殻》が顕現する。


銀髪の少年の周囲に、雷の鎧が走る。 獣の咆哮、雷の腕、鋼の尾、牙の輪郭。


人型と獣型が重なり合うようにして、《外殻》が形成されていく。


これも、“仮の姿”って感じだな……まだ、()()()()()()()()()()()()()()……。


ナナシは震える手を押さえつけた。 だが、それは恐怖ではない。


「……おもしれぇじゃねぇか。」


ゆっくりと、愛刀を構える。 目の前の“神話”に立ち向かう覚悟が、ナナシの中で燃えていた。



そして、そのナナシの背に向かって「ご主人様~!」というたどたどしいながらも、聞き慣れた三体の声を耳にしてナナシも少し微笑む。






***



ちらっと、村の方角を確認したナナシは微笑む。



「フッ。(あいつら、俺の指示通り村人たちを守り通したか。無茶な指示だったがよくやってくれた。あとは、目の前のコイツをどうするかだが。オレ一人でも分が悪いが、果たして、あいつらを巻き込んで勝ちを得られるか。微妙なところだ。ここは、一度交渉をしてみるか。聞きたいこともあるしな。)」



「クカカ、言いたいことは決まったのかい?そこな貴殿や?(ニィ~と嗤う顔)」


「貴殿じゃない、名乗ってもらって自分も名乗らないのは筋が通らないと思っただけだ。(心を読まれているってわけでもなさそうだが、内心思っていることが顔に出ていたか。ここは反省点だな。俺の。)

俺の名は、ナナシ。みんなからそう呼ばれている。そして、今は《無銘の牙》のナナシだ。」



「ほう、《無銘の牙》のナナシとな?良い名だ。まあ、後ろのちっこいのが来るまで暫し休憩としよう

ではないか。」


「それは、助かる。少し、《ヴァルグ・ゼオグレイン》殿に聞きたいこともある。それは、あいつらが

来てからにしよう。」



今、牙の戦士《無銘の牙》たちが銀の大狼ヴァルグ・ゼオグレインに相まみえようとしていた。




――続く――




ここまでお読みいただきありがとうございます!


「用語解説」

刻環十二聖王座(アルザ・セイ=クリオス)

 ↳《時を統べる十二の王座》という意味合い。

 「刻環」:アルザ(時間の輪)、

 「聖王座」:セイ=クリオス(神聖なる王たちの座)




実は、今回のお話が今後のストーリー展開を左右するカギとなります。

何かが隠されていましたが、読者の皆様は見つけることができたでしょうか?


もし、聡明な目をお持ちの方は、コメント欄や感想等で教えて頂けると嬉しいです!


何が隠れているかな♬ 何が隠れているかな♬



また、明日は土曜日ということで、筆者のエネルギーも朝から満タンに充填しきっているので、連続投稿可能です。(^^♪


とりあえず、明日は朝6時30に1回目の投稿開始予定です!


さらに加速する“牙の伝説”をどうぞお楽しみに!


引き続き『ナナシの豪腕とモンスター三姉妹 ―最弱から始まる最強クラン伝説―』

略して『ナナクラ』をよろしくお願いいたします(^^)/

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