第25話:女同士?
今回もR15です。
前回同様下品な内容です。若干パワーアップしてます・・。
その点注意して御覧下さい。
私は混乱していた・・。
文字通り、頭の中はぐちゃぐちゃだったーー!!
(・・えっ? えっ? ・・だって・・昨日子供をつくるって! ・・それに・・それに・・昨日私を・・!!)
考えているうちに・・私の顔はどんどん赤くなっていった・・!
・・もう・・わけがわからなかったーー!
(・・じゃあ可憐さんは・・『完全なゲイ』って事ーー!?)
「・・昨日寝る前に飲んでた薬はこれよ・・。」
彼女はそう言い、病院の薬の袋を私に差し出したー。
袋の上には病院名と患者名が書かれていた・・。
「滝川・・一穂?」
「・・それ・・私の本名よー。」
彼女はそう言うと、財布から一枚のカードを取り出し私に手渡した。
見て見ると・・それは健康保険証だった。 ・・名前は「滝川一穂」・・性別『男』ーー。
(・・本当に男性だったんだ・・! ・・もしかして女性か?と思ってたのに・・。)
私はまじまじと性別欄を確認したー。
「病院に行く時は、もちろん男の格好をして行くわよ?」
彼女は苦笑しながら呟いたー。
医者も診察した男性が・・あの『大沢可憐』だとは、夢にも思っていないだろう・・。 この人メイクをとると本当に顔が変わるから・・。
(・・本名は「一穂さん」っていうんだ・・。 なんか変な感じ・・。)
可憐さんは本名も「可憐さん」だと思ってた・・。 ・・よく考えたらそんなワケないのに・・。
「・・ところでこれ、何の薬ですか?」
私はそう言いながら袋の中の青い錠剤を取り出したー。
そして一緒に入っていた処方箋を開き、薬品名を口にしかけた・・。
「ーーバ・・」
(!!???)
ちょ・・ちょっと待ってーー!! こ・・これは・・も・・もしや・・!!!
私の顔は見る見る赤くなったーー!!
「・・なっ・・なっ・・なっ・・・・!!」
・・こ・・これは・・役に立たなくなった「男性の機能」を回復させるという・・・かの有名な『魔法の薬』ではないかーー!!
(ぎゃああああああああああ!!!!!)
思わず・・手にしていた袋を放り投げたー!!
もう・・卒倒しそうだったー!! 実際には倒れなかったが・・精神は、体から離れて・・卒倒してた!!
泡を吹いてぶっ倒れてたーーーー!!
「・・け・・今朝・・だ・・男性でも・・女性でも・・「変わらない」って・・!」
私は・・どもりながらもなんとか言い切った!
彼女は床の薬を拾い上げながら呟いたー。
「「気持ちの上では」ね・・? 『体』が変わらないなんて、一言も言ってない・・。」
(ーーーどこが違うんだよーーー!!)
思わずツッコミたくなったー。
でも・・そんな勇気があるはずもなく・・「それじゃあ・・可憐さんは・・。」と、呟いただけだったー。
「・・そう。ようするに私は・・女性に対して・・性的に『不能』なのーー。」
ーー私は・・脳天にハンマーをくらった気がしたーー!!
・・じゃあ・・じゃあ・・昨日のあれはなんだったのだーー!? 夢でも見てたというのかーーー!??
・・なんだか・・頭痛がしてきた・・。動悸も・・。息切れもーー。
「・・でも・・別に”女嫌い”じゃないわよーー? 女性に対して’嫌悪感’とかは、全く感じないしーー。
本当、ただ単に・・『体』が反応しないだけーー。」
彼女はこの時、かなり’重要な事’を言っていたのだが・・こういう事に無知な私は、それがよく分からなかった・・。
・・だから、ただ(・・何度も言わなくていいよ・・!!)と、心の中で呟いただけだったーー。
「・・それで・・薬を・・?」
「・・そう。・・気持ち悪い?」
彼女は・・不安気な表情で尋ねてきたー。
(・・気持ち悪いーー? ・・確かにそうかも・・。)
・・私は心の中で毒づいたーー。
・・と言うか・・はっきり言って、「性行為」自体・・かなり、気持ち悪いと思う・・。
「出産」も・・すばらしい事だとわかっちゃいるが・・グロいーー。
・・そして・・・怖い・・。
30にもなって、こんな風に考える自分は・・’子供’だと思うーー。
でも、こういう気持ち・・大抵の女性には理解できるはず・・。
とにかく・・基本的に女性は・・’気持ち悪い’ものが苦手だーー。
だから、同じ自然界の生物なのに、美しい花や蝶はうっとりと眺めて・・蛾や蜘蛛は・・青筋を立てて追い払うーー。
人それぞれかも知れないが・・そういう人が多いと・・思う。
まあ要するに、私が言いたい事は何かというと・・
『ーー気持ち悪いにきまってんでしょ~~!!』って事だーー!!
もうね・・イヤなの・・。「出産」も、「性行為」も、・・ましてや「魔法の薬」も・・。
私が彼女に言いたい事は、ただ一つ・・
『・・相手を変えてー。』
・・ただそれだけだったーー。
可憐さん・・あなた、まちがってるよーー。
一番肝心な・・『相手選び』を、間違えてるーー!!
私はあなたの「条件」に・・一番合っているように見えるかもしれないけど・・実は・・あなたの条件から・・一番、かけ離れてるーー。
なぜなら、私は・・「子供」を全く望んでないし・・「性行為」自体・・絶対にイヤなんだからーー!!
・・本当に子供が欲しいというなら・・”そんな女”を相手に選ぶ事自体まちがってるーー。
’女性に興味のない可憐さん’と、’男性に興味のない私’ーー。・・無理っ!!・・絶対・・無理ーー!!
・・こんな無茶な関係を・・『こんな物』まで使って成立させようというのか・・・? ・・この人は・・!?
「・・美月さん・・・?」
彼女の訝しげな声で、ハッと我に返ったーー。
「・・別に・・気持ち悪くなんか・・ありません・・。」
私はコホンと咳払いをした後、大嘘をぶっこいたーー。
本心を言って、逆上されたら怖いもん・・。
彼女のこの’可愛い顔’に騙されて、口を滑らせたら、どんな事になるか・・私は、よく分かっていた・・。
とにかく彼女には・・この『可愛い仮面』を、永久にかぶっていてもらうに限る・・。
「・・じゃあ、一緒に寝てよ。 薬を飲まなきゃ「女同士」で寝るのと変わらないんだからいいでしょ・・?」
「・・ダ・・ダメです!!」
私は慌てて拒否したー!
「ーー何で?」
彼女は不思議そうな顔で尋ねたー。
「・・もしも・・って事が、あるじゃないですか・・!! 絶対に・・イヤです・・!!」
思わず顔を赤くして叫んだー!
・・彼女はムッとした顔で叫び返したーー!
「・・だから、大丈夫だって・・!! 例え一緒に寝ようが、素っ裸で抱き合おうが・・薬を飲まない限り、絶対にー”そういう事”にはならないんだってば・・!!
大体家には、あのベッド以外寝具がないのに、どこで寝る気よ・・!?」
「えっ・・ソ・・ソファーで・・。」
私はしどろもどろに答えたー。
「・・ちょっと!! あのソファーはイタリア製で20万もしたのよ!? もう二度とあそこで寝ないでちょうだい・・!!」
「じ・・じゃあ・・床で・・!!」
「あああーーー!! もうっ!!!」
可憐さんがブチ切れたーー!!
「何っ!? 私とは同じ布団に寝たくないっての!!? ・・不能の女装男がキモイって!??」
「・・まっ・・・まさかーーー!!!」
私は真っ赤になって否定したーー!!
「じゃあ、ベッドで寝てよ!! こっちは仕事で疲れてるんだから、煩わせないでちょうだい!!」
・・彼女は’付き合ってられない’とばかりに、叫んだ・・!!
「ーーお風呂に入ってくるから、先に寝ててね!! ベッドで寝るのよーー!?」
・・可憐さんはそう吐き捨てると、リビングから出ていってしまったーー。
・・彼女がお風呂に入っている間・・私は部屋の中をウロウロしていたーー。
どこか・・他に寝れそうな部屋や、隠れるスペースがないか、扉をチェックして回ったーー。
でも・・彼女がそんなに甘いわけも無く・・どの部屋も・・がっちりと、鍵がかけられていた・・。
(・・買うなら・・80万もの「服」じゃなく、1万円の「パイプベッド」にしてもらいたかったよ・・。)
私は諦め切れずに、開かない扉の取っ手をガチャガチャと回し続けたー。
結局・・逃げ場など、どこにもなく・・あきらめて、リビングのソファーの上で体育座りをしていたーー。
(・・それにしても・・まさか彼女が・・『薬』まで使おうとしていたなんてーー。)
私は大きな溜息をついたーー。
・・彼女は・・おそらく『性同一性障害』だーー。 だから・・性転換しようとしているー。
・・それなのに、何故か「子供」をあきらめない・・。女性が・・完全にダメなのにーー!!
私には、それが理解できなかったー。 私なら・・絶対にあきらめるーー。
何と言うか・・今回の一件で・・彼女の’子供を持つ事’に対する底知れぬ”執念”を感じたーー。
もう・・プライドも何もあったものじゃない!! ・・まさに・・’なりふり構わず’だーー!!
(・・なんで・・ここまでして・・・?)
私は・・不思議でならなかったー。
一体・・何が彼女をここまで駆り立てているのか・・?
これほど必死な彼女から・・私は本当に・・逃げ切れるのだろうか・・?
そんな事を考えていたら・・だんだんトロンとしてきた・・。
(・・・ヤバイ・・・。)
私は頭をブンブン振って・・目を覚まそうとしたー。
時刻は0時を過ぎているー。
明日も朝からドラマの撮影で・・朝の八時に渚さんが迎えに来る事になっている・・。
昨日はほとんど寝てなくて・・今日は朝から働きづめで・・更には慣れない仕事と緊張だらけで・・私の疲れはピークに達していた・・。
(・・絶対に・・ここで折れちゃいけない・・。)
私は必死で・・逃げる手段を考えようとした・・。
でも・・考えが一向にまとまらない・・。・・頭がぐらぐらする・・。
・・どうしよう・・なにも考えれない・・。疲れた・・。眠い・・。
・・一瞬意識がなくなった後・・「・・美月さん・・?」と声がしたー。
重い瞼をなんとか持ち上げると・・目の前に可憐さんがいたー。
メイクをとった別人の顔で・・不思議そうに私を見つめていたー。
お風呂上りで・・昨日と同じ・・甘い香りがした・・。
(・・彼女と同じシャンプーを使っているなら・・私もこんな香りがしているのかな・・?)と、ふと思った・・。
「・・寝よう・・?」
彼女はそう言い、右手を差し出してきたー。
そんな彼女の顔を・・不安気に見つめていると・・彼女は・・
「・・本当に大丈夫だからー。」
と言い、優しい顔で’フワリ’と笑ったーー。
(・・天女って・・きっとこんな顔をしてるんだ・・。)
私は・・ぼんやりとした頭で・・そう思ったー。
もう・・疲れていた・・。今さら彼女と争う気力なんてなかった・・。
(・・もう、いいよ・・。・・この人の言う通り・・’女同士’なんだしー。)
・・いつまでも差し出されている、その右手を・・私は・・恐る恐る掴んだー。
彼女は、そんな私を見て・・フッと笑ったー。
そして、立ち上がらせると・・寝室の中に誘導したーー。
「・・明日の朝も早いから、早く寝ようね・・。」
そう言いながら、寝室の扉をパタンと閉めたーー。
何と言うか・・自由ですみません。
今回のような表現は今回限りにしますのでご安心下さい。
ところで、そろそろ可憐視点の小説も書こうかなと思っています。
別の短編か連載にするつもりです。
題名にはヴィーナスと入れるか迷ってます。(入れると分かりやすいですよね。)
次回はそちらを書くつもりですのでよろしくお願いします。(^^)