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2.元居た世界への思い入れ

 さあ、第2回です。

 今回は、「半身転生」における最大の特徴が生まれた経緯について書いていこうと思います。


 最大の特徴……はて? みたいな感じですね。

 これは私が個人的にそう定義しただけなのですが、「異世界転生モノにしつつ元の世界との関わりも残す」という点を絶対に守りたいと思って構想を練り始めました。

 そもそもなぜ異世界転生モノ? という点につきましては、何か書きやすそうで流行っていたからというのに尽きます。

 実は執筆開始時点で既に異世界転生の熱はひと段落していて、悪役令嬢モノがはやり始めていたわけですが、その点に関しては作者のリサーチ能力の低さと見通しの甘さが原因なので悪しからず(笑)。


 さて、なぜ異世界転生で元の世界の描写を必須としたのか。

 では逆に、なぜ異世界転生モノで元の世界の描写が排除されがちなのか。

 いやいやそんなことないぞ、某異世界転生モノの傑作でも元の世界はしっかりと描かれているじゃないか、例えばあれやこれや……というのはもちろん承知していますが、やっぱり体感的な割合としては少ないですよね。

 考えられる理由としては、ファンタジー世界の話をしたいのに現代日本の話って必要ですか? という至極当然なものが挙げられるわけで、他にも読者への親近感を持たせるために日本出身設定にしたけど他の情報は邪魔だから排除するとか、まあどの作品にも恐らくそれなりに合理的な理由があるわけです。

 そっちの方が面白いと思ったからそうした、それも小説に限ればある程度の合理性を持つのではないか、そう考えます。


 これらの話を踏まえて、私の主義主張や信条から物語の根幹を定めると、必然的に主人公のスタンスや作品の形が決まってきます。

 元の世界に帰りたい、元の世界に未練がある、ナーロッパじみていて殺伐とした異世界への嫌悪感、前時代的なローカルルールの数々への嫌悪感、そういう人物像が出来上がるわけです。

 もっと言えば、現代日本と行き来できるような仕組みも欲しかったですし、かといって家のドアをくぐれば戻れますみたいな方法はNGとなったわけです。

 その辺は「半身転生」内で登場するエクストラスキル【時空間転移】の付与条件で整合性を取りました。

 元の世界に戻るために必要なスキルを会得するためには、肉体を正式に異世界仕様にコンバートして完全に異世界のレギュレーションに従う必要がある。

 そうなれば一時帰国する能力を得られる代わりに、日本への完全帰還のチャンスは永遠に失われる。

 条件を満たせば戻れるけど、恒久的に戻れるわけではないというバランスを取るための方策が、「半身だけ転生」だったわけです。


 他のキャラクターの設定などはもっと紆余曲折を経て固まったのですが、結果的に半身だけ転生させるというメソッドは他のことにも役立ちました。

 主人公の恋人、清水遥香の半身を先に異世界転生させておく。

 まあその辺の細かい話は別の機会にするとして、こうして邪悪な異世界転生のシステムが組みあがっていったわけです。

 登場人物たちからすれば、日本の描写なんてなくていいからもっと良心的な方法で異世界に飛ばしてくれと思われたことでしょう。

 まあ私は作品内の神様と同じく相当に邪悪なようなので、設定の結果誰が不利益を被ることになろうがあまり気にしませんでしたね。


 とにもかくにも、異世界転生モノを書くと決める→参考にした作品に対して自身が抱いた感想を設定に反映する→主人公の性格・スタンスがうっすら決まる→作品最大の特徴とも言える「半身だけ転生」を思いつく→さあここからどうしようかという状態まで来ました。

 今回はキリがいいのでこの辺までにしますが、次回は作品の結末やゴールをどうやって決めたのかについて書こうと思います。


 ではまた。

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