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時は少し戻ってファウステルはアイリスと別れたあとすぐに護衛のもとへ辿り着く。


「ファウステル様!あれ?アイリス様は?」


護衛はファウステルひとりなことに疑問を持つ。


「いいから、すぐに警備兵のところへ行くぞ。俺が何を話しても、一切表情には出すな。」


「はっ!」


ファウステルはすぐに馬車に乗り込み、警備兵のもとへ向かった。


街の真ん中にある警備兵の建物に着くと、ファウステルはすぐに中に入る。なにやら騒がしくしているが、その中のひとりを捕まえて話をする。


「急な訪問失礼します。ファウステル・アインダムと申します。」


「アインダム様?!公爵家の?!こんなところに何の用ですか?!」


警備兵のひとりは驚いて、だがすぐに姿勢を正した。


「いえ、帰りがけに男の子に助けを頼まれまして。道端で男が担いでいた麻袋が揺れていて、それを不審に思った妹が声をかけて一緒に連れ去られたそうです。もしかしたら何か誘拐事件でも起きているのかもしれません。」


ファウステルは真実に少しの嘘を混ぜた。誰が連れ去られてるのを救うために妹が助けに行ったと言えるだろうか。話の辻褄を合わせるために少し登場人物を増やした。


「なっ。それは…!少々お待ちいただけますか?!」


警備兵は返事を待たずに礼をしたあとすぐに裏に入っていく。


それを聞いていた護衛は


「ファウステル様…もしやその妹とは…」


「静かに。たぶん想像してる通りだ。」


護衛は思わず片手を額に当てた。想像通りだとしたらその妹とはアイリスのこと。ファウステルが焦っている意味が理解できた。ただ、連れ去られたのところだけは、護衛にも嘘だとわかる。アイリスが連れ去られるわけがないのだ。


裏がバタバタと騒々しいと思えば警備兵とは違う服装の男が3人出てきた。


「ファウステル様、お久しぶりでございます。」


その中のひとりがファウステルに声をかける。


「あなたは…エイムス騎士団長…」


なぜ、騎士団長がここにいるのか。

それを考えた時、最悪な答えが思い浮かぶ。


「先ほどの話をもう一度お聞かせ願えますでしょうか。麻袋を持った男を見たと。」


「いえ。私は直接見たわけではありません。男の子に助けを頼まれまして。」


「それは信じていいのでしょうか?」


「妹が連れ去られたと。私も妹を持つ兄です。あの必死な様子に嘘はありませんでした。」


ファウステルは平気な顔で嘘をつく。

騎士団長は少し考えたがすぐにファウステルに話を切り出す。


「何も情報がない中で、藁にもすがる状況です。場所はわかりますか?」


「森の近くに行けばわかるはずです。わたしも森にはあまり行かず不慣れなので、口頭よりは直接一緒に行ったほうがいいでしょう。」


いまは正直どこにいるかはわからない。だが森の近くに行けばアイリスの気配がわかるはずだ。


「その男の子はどこにいますか?」


「私に話してすぐに妹を追いかけてしまいました。引き止めようとしたのですが…」


「そうですか。では、一緒に来ていただけますか?」


「もちろん。騎士団長が動くと言うことは、それだけの案件ということですね。」


「情報をお持ちくださったのがファウステル様で良かったです。その通りです。」


騎士団長が動いている、揺れた麻袋…導きだされるものは、王族の誘拐。


はあ。

ファウステルは騎士団長にはバレないように小さな溜息をこぼす。



アイリス…お願いだから余計なことはしないでくれ…。



ファウステルは心の中で妹が王族になにかやらかさないことを祈る。それと同時に絶対にバレるわけにはいかないと決意を新たにする。

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