18
飛んできた先を見るとナイフが突き刺さっている。
「はい!そこまでー!!!」
それと同時に声が聞こえる。
「兄さま」
「ファウス」
2人同時に声の方へと話す。
「2人気持ち通じ合って盛り上がってるところ大変申し訳ないが、でもダメだ。もう耐えられん。」
ファウステルが現れ、片手で真っ赤にした顔を隠す。
「一先ず落ち着け。お前ら周り死体だらけな中よくそんな雰囲気出せるな?俺は怖いよ。」
周りを見ると確かに、と2人は納得した。
「それだけ周りが見えてないなら充分お互いバカップルだよ。」
ファウステルは呆れてやれやれと首を動かす。
兄の姿を見てようやくアイリスは我に帰った。
「あ、危ない。流されるところでしたわ。」
「ちっ。邪魔が入った。」
アイリスはほっと安堵のため息を吐き、ローランドはファウステルにあからさまに舌打ちをした。
「ファウス、どちらかというと俺に向けて投げただろ?」
「当たり前だ。初恋が実った19歳が暴走するのを止めるのは友達の役目だ。そして妹は俺が守る。」
「俺、一応王太子なんだけど?そしてアリィはもう俺のものだ。兄さまの出番は終わりだ。」
「お前、そんなこと気にしてたらアイリスの相手は無理だぞ。俺は5歳の頃から命狙われてんだからな。」
何故か自慢げに話すファウステル。
「さすがアリィだ。俺のことも狙ってくれたら嬉しいな。」
「え、いいんですの?」
アイリスはキラリと目を光らせる。
「もちろん。夜中だろうと明け方だろうと、いつでも大歓迎だ。その代わり、俺が勝ったらしばらくは帰れないから、覚悟してね。」
「えっ…」
そんな命懸けな暗殺があるのか?
アイリスは己の貞操の危機を悟った。
「こら!いつの間にか愛称呼びにはなってるし、暴走するんじゃない。アイリスだけでも大変なのに、頭お花畑野郎の相手までするのか俺は…」
ファウステルは項垂れた。
「まぁまぁ、大丈夫よ兄さま。私だってタダではやられませんわ!」
アイリスはグッと拳を握った。
「そうゆうことじゃないんだけどな…」
「ははっ。いーね、望むところだ。」
ローランドは楽しそうに笑うとアイリスの腰を引き寄せ額にキスをした。