農業神様の農園
今日は先日のお礼も兼ねてウカさんのところに来ている。
聖獣のお産だとかで、ウカさんに色々ご迷惑をかけたのは事実だ。
本来ならウカ様と呼ぶべきだろうが、何せ、クロードさんのことも様付けじゃなく、さん付けで呼んでいるので、もうここは開き直ってさん付けで突き通そうと思う。
「エトラちゃんいらっしゃい」
ウカ様が神殿の横の農園から手を振り私を招く。
「ウカさん昨日はありがとうございます」
私はウカさんの元へ行くと深々と頭を下げ、昨日のお礼をする。
「神として聖獣の誕生に立ち会うのは当たり前のことだから気にしないで」
ウカさんはいとも当たり前のようにそういう。
やはり神様とは出来た人だ。
思わず崇めたくなる、そんな所が神様なのだろう。
「ところでエトラちゃん。ゴンちゃんにごはんあげない?」
ウカさんは農園に植えてある野菜を指し示す。
野菜はどれも1種類一株ずつ植えられており、収穫の時期を迎えていた。
「これはね神力を栄養分にして成長しているの。収穫する時に神力を吸収して次の世代の野菜を成すの。試しにそこのイチゴを収穫してみて」
ウカさんに言われるままに私はイチゴの収穫を開始する。
ウカさんから託されたカゴにたわわに実ったイチゴを収穫する。
「全部のイチゴを収穫してね」
ウカさんの言う通りにイチゴを全て収穫すると、スッと私の神力がイチゴの苗に吸われるような感覚がした後にイチゴの花が咲き再びイチゴが実る。
「フフフ、ここの植物はね、いつでも収穫出来るの、神力を与えてね」
「凄いです」
「そして、神力を使って収穫する為に、神力を、糧にする聖獣のごはんにもなるのよ」
ウカさんが得意気に説明をする。
「空気中の神力を摂取しても良いけど、この方が食べてるって感じがして良いと思うわ」
確かに、空気や霞を食べてますって言われてもピンとこないけど、これなら私もゴンちゃんが食事をしているのが分かる。
私は早速収穫したてのイチゴをゴンちゃんにあげる。
するとゴンちゃんは本当に美味しそうにイチゴを食べた。
「けど、普通の人間は食べない方が良いわ。神力はそれを受け止める器がないと暴れちゃうから」
「暴れる?」
どういう意味だろう。
疑問に思っていると「エトラの知識を引用すれば、過充電し過ぎた電池とか、無理な大食いを下とか」と、ウカさんが人の悪い笑みを浮かべながら説明した。
「えっ、それってヤバイやつでは?ゴンちゃんは大丈夫なの?」
ゴンちゃんのお腹がはち切れたらどうしよう。
不安になりながら私はゴンちゃんを見た。
すると、ゴンちゃんは空になったカゴを口に咥えて「おかわり」のおねだりをしている。
「聖獣は神力で成長するからね。取り過ぎと言う事はないよ」
クロードさんが優しくそうウカさんの説明につけたしてきた。
そして、再びイチゴを収穫。
クロードさんにイチゴを入れる袋を貰っちゃいました。
これでゴンちゃんのご飯は大丈夫だよね。
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