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レックス3

師匠はSランクの冒険者だ。

まだ30代だという師匠は20代のうちにSランクになったという。

4人パーティーで活動していたらしいが、Sランクへ昇格した後パーティーは解散。

今はそれぞれ違う仕事をしているらしい。

昔、父のところに師匠が仕事で来ていた時に、冗談で連絡手段の交換をしたのがこんな形で役に立つとは思いもしなかった。

「お前が俺に頼んだんだぜ」

グビグビと酒をあおりながら師匠が俺に指摘して来る。

「そうですけど、どんなことにでも限度というものがあります。常識の域を超えていますよね」

「獅子は我が子を千尋の谷に落とすという」

「我が子じゃありません」

なんなんだこの押し問答は?

「まあ、なんだ。本当にヤバい時は助けてやるから。まあ、受けとけ。これが出来たら飛び級でAランクへの昇給の推薦文書いてやるよ」

ほら、そう言って師匠は俺に無理難題を押し付けるんだ。

だいたいにして最初からそうだった。

師匠に弟子入りして最初にもらった依頼が薬草採取なんていうかわいいもんじゃない。

100人余りの大規模な盗賊団の討伐ときたもんだ。

普通するか10歳の子供に?ありえないだろう。

「まぁ、期限2年と余裕もあるし。そこにたどり着く過程で上級の魔獣もついでに討伐してしまえば、余裕でA級の魔獣の討伐も出来るってもんさ」

「はぁ~、確かにそうですけどね。師匠の言うその過程でランクアップしそうですよ」

何せ、師匠が寄越した依頼内容はここのダンジョンの中でも大規模と言われている深淵の洞窟、そこの100階層から150階層に突然現れるキマイラの討伐だ。

ダンジョンボスとは別格で出会った冒険者は運が悪いとされている。

けど、実際はAランク冒険者でさえ90階層へ行くのがやっとと言うのが現実で、キマイラの討伐ははっきり言えば無理ゲーの域には言っていた。

「俺の若い頃はパーティーメンバーと共に140階層まで余裕でいったけどな」

ハハハハと豪快に嗤う師匠。

けど、言わせて欲しい。

4人のパーティーメンバー全員がSランク冒険者の師匠の時と、まだ冒険者になって半年の新米冒険者を一緒にしないで欲しい。

「まぁ、Sランク冒険者の俺が直々に一緒に潜ってやるんだから有り難いと思ってもらうのが当たり前だろう。ここまで来るとボランティアだよな」

確かにそうですけど、討伐した魔獣の素材も、クエストの報酬も全て同行代金として渡しているのですが。

「ガキが、不満は一丁前になってから言え」

確かにそうだけど・・・。

時々師匠は俺の考えている事が分かるようだ。

「分かりました。その依頼受けます」

俺の答えに師匠はご機嫌な様子で席を立つ。

「んじゃ、早速潜るぞ」

ガシガシと頭を強く撫でる師匠に

「えっ、今から?」

どうやら俺は休む暇もないようだ。

お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

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