登録料ですか?
「テイマーとしての冒険者登録とテイムした魔獣の登録は終了致しました。料金は冒険者登録料一万リン、テイムした魔獣の登録料五千リン、合わせて一万五千リンになります」
「えっ、登録料がかかるのですか?商業ギルドではかからなかったので、失念していました」
そうだよね、普通はかかるよね。
「商業ギルドは年に何度か商会が大々的に集まるパーティーを開いています。その参加費用を徴収したり、商会の斡旋料や、特許料からマージンも入りますので、新規参入がしやすいように間口を広く開けている為に初回の経費は掛からないのです」
「そうなんですね」
まるで、新社会法が出来た時を思わせるなぁと思った。
「それに対して冒険者ギルドはクエスト報酬から手数料はいただいていますが、新人冒険者育成の費用や スタンピード、災害級の魔獣討伐に対する報償金もギルドで負担することもあります。また、冒険者ギルドカードを所持することによって入れる特例地域もあるために、安易に冒険者ギルドカードを作らないようにするためにも、初期投資のハードルを上げているんです」
確かに一万リンは決して安くはない。
初期投資を高くすることによって本当に冒険者になりたい人や、必要な人だけが申請するということを考えれば一万リンは悪くない金額なのかもしれない。
「それにA級冒険者になれば国を跨ぐ事も簡単に出来ます。いちいち他国への入国の手続きに時間が掛からないのです」
この国に嫁に来た時は簡単に国境を越えれたが、やはり、国境を越えるためには手続きは必要だよね。
それがA級冒険者なら簡単に入国出来るとは。
「あの、因みになんですけど、冒険者ランクについてお聞きしたいのですが」
そう言うと、受付のお姉さんがニコリと微笑んで一枚のパンフレットを手渡して来た。
「新人冒険者講座?」
そこに書かれていた内容は、新人冒険者のコース別講座の案内だった。
「新人冒険者基礎講座は三日間で受講料は1日五千リンになります。申し込みますか?」
えっと、これってぼったくり?
「すみません。今新店舗の購入とかで忙しいので、それはまた後でお願いします」
勿論嘘ではない。
鉄は熱いうちに打てと言うじゃない?
今が一番商売がノっている時だから、アクションを起こすのは今しかないのだ。
受付のお姉さんはとても残念そうに「そうですか。では、お時間出来ましたら是非お声掛けください」
と言うと、私に冒険者カードを手渡してくれた。
「はい。その時はまた宜しくお願いします。カードありがとうございました」
そう言って、私はキリさんを連れて急いで冒険者ギルドを後にした。
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