宴会ですよ
その夜、ヤマト島では飲めや歌への大宴会が繰り広げられていた。
料理は目の前に大きな網と鉄板が沢山並べられており、それを島民の皆さんが代わり番こに肉を焼いて行く、まさにBBQ状態だ。
島民の皆さんは全員で200人位しかおらず、皆さんのお話を聞くに神力が強い為の弊害で子供の数は少ないらしい。
確かに魔力持ちの貴族は子供の数が少ない傾向にある。
因みに、平民に至っては兄弟が二桁いく家族もあるそうだ。
平民と貴族の違いはやはり魔力だろう。
だから貴族と言うよりは、魔力を持つ人達は子供の数が少ないのだ。
けど、王族でもない限り複数の妻を持つ事が出来ず、一夫一婦制である事も魔力持ちの夫婦に子供が少ない原因だと言える。
因みに私の血縁上の父は王様だけあり奥さんを5人も娶っていた。
なので子供の数もそこそこにいた。
やはりお家問題があるから王族はその辺り許されたのだろう。
世の男達からしたら羨ましい話だと思う。
閑話休題
まぁ、今日は無礼講と言う事でリナさんが目茶苦茶音頭をとって酒飲み大会が開かれている。
「さぁ、今日は飲むよ〜。我らが神使ゴン様のために」
リナさんの掛け声に本日何度目か分からない乾杯が繰り返される。
ふと、隣で何も口にしないクロードさんが目に入った。
「クロードさんは飲まれないのですか?」
既に宴会開始から2時間は過ぎていた。
が、クロードさんは何も食べていないし、飲んでもいない。
「写し身ではないので、現世の物は口に出来ない縛りがあるんです」
残念そうに、そう言うクロードさん。
写し身が何かは分からないけど、神使のゴンちゃんは果物を食べている。
流石にお肉は食べていないようだけど、ドラゴンって草食動物だったかな?
「神使は火を通していない物なら何でも食べれます」
クロードさんの言葉を直訳すると、お肉は生でだったら食べるということだろうか?怖。
「生まれたばかりですからね。そこはエトラが上手く慣らしていけば、調理済みの物も食べれるようになりますよ」
ニコリとクロードさんは言った。
えっと、つまり、ゴンちゃんは私が育てると言う事だろうか?
何かのフラグが立った瞬間でもあった。
*******
マヤト島の宴会より抜粋。
リナさんの婚活事情再び
「エトラちゃぁ〜ん、聞いてよぉ〜ワタシわぁ〜本当に結婚したいのぉ〜」
「はいはい、聞いてますよリナさん」
「でもぉ〜、この国の良い男どもはぁ〜既に売約済みだらけでぇ〜売れ残りはぁ〜難あり商品なのよぉ〜」
そこまで言うとリナさんはボロボロと泣き出してしまった。
何だろうこのデジャビュは・・・。
「リナさんにはキリさんがいるでしょう?」
ごめん、キリさん。
またもや貴方を生贄にしてしまった。
「キリさん、キリさんかぁ〜」
思い出した。
この既視感の原因はリナさんに初めて会った日だ。
「それに、今日集まった島民の方の中には独身の男性もいますよ」
宴会中に入れ代わり立ち代わりに若い島民の皆さんが食べ物やお酌の為に私の所へ顔を出していた。
その中で「独身なんです」と自己紹介にわざわざ説明を入れる人もいたのだ。
私の提案にリナさんの顔が渋いものになった。
「ゴリラだってねぇ、一緒に暮らした仲間は例え他人でも兄弟と見なすのよぉ。島民の中でなんて、あり得ない」
完全に言い切ったリナさん。
そんなリナさんの言葉に数人の男性が撃沈していた。
本当に罪作りな女ですよね、リナさん。
でも、何故例えがゴリラなのか?
撃沈した男性たちを眺めながら何となく思ってしまった。
お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。




