神使様ゴンちゃんです
クロードさんに手を取られると一瞬でヤマト島のあの祠の近くの社に転移をした。
私達が出現した場所は、社の中の神事を行う時に巫女さんが立つ台の上だった。
「エトラちゃん」
リナさんが私たちに気づくと直ぐに駆け寄って来る。
社の中には数人の島民の方達がいて、社の中のお掃除をしている最中だった。
「神様の世界での修行はどうでしたか?まだ巫女の継承の儀式の準備は終わっていなくて・・・」
リナさんはハッと下ように私に頭の上に乗っているゴンちゃんをマジマジと見る。
「あっ、気づきました?リナさんから頂いた光の卵から産まれた神使のゴンちゃんです」
私は頭の上からゴンちゃんを取ると胸の前で抱っこをしてリナさんの見えやすいようにした。
「えっ、あの卵から?神使様が?」
リナさんは更に食い入るようにゴンちゃんを見る。
「まさに、神力の塊を感じます。ああ、とうとう我らの悲願が叶ったんですね」
リナさんは感極まったように言うと後ろを振り返り「全島民に周知を、我らが悲願叶ったり、今宵は宴をすると」リナさんの言葉にお掃除をしていた島民の皆さんが歓声を上げる。
中には涙を流す人まで。
余程嬉しかったのだろう。
神様に言ってゴンちゃんのお披露目をして良かったと思った瞬間だった。
「さあ、準備に取り掛かりなさい」
リナさんの号令で島民の皆さんは社を歓声を上げながら出て行く。
「ああ、やっと自由よ。私たちはもうここに縛られる事はないんだわ」
リナさんはクルクルと何度も回りながら喜びを表現する。
「これで心置きなく旦那様探しが出来ると言うもの」
ウフフフ・・・と笑うリナさん。
けど、
「あの、キリさんとの事はどうなっているのでしょうか?」
キリさんと結婚する的な事言ってましたよね。
私の言葉にリナさんの目が大きく見開かれる。
「何てこと、あまりにもの嬉しさにトンと忘れていましたわ。私とした事が、あんなに熱れるな求婚をしていただいたのに、なんて罪な女なのかしら」
罪な女なのは分かるけど、キリさんからは求婚していませんよね。
どちらかと言うと求婚したのはリナさんで、キリさんは有耶無耶状態で保留中的な感じだったように思いますよ。
まあ、私が変な圧を掛けたと言われればそうなんだけど。
つまり、結婚云々は保留中という事ですよ。
けど、私はあえてその事は言わない。
だって、馬に蹴られたくないじゃないですか。
晴れた惚れたも何とやらですよ。
兎に角、リナさんの恋愛事には下手に介入しない方が身にためなんです。
だって、犬も喰わないのに、下手なことをして藪蛇になっても嫌でしょう。
だから、今私がリナさんにかけられる最大限の言葉は
「リナさんの運命の相手ならきっと理解してくれますよ」
そう、キリさんに丸投げする事である。
ごめんよ、キリさん。
貴方の貢献は決して忘れません。
お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。




