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想像と違った

お腹をおさえてうずくまる私にウカさんがそっと手を当ててくる。

「もう直ぐララーも来るから頑張って」

ララさんって誰の事だろう?

そう言えばさっきクロードさんが姉上を呼ぶって言っていたから、ララさんはクロードさんのお姉さんの事だろうか?

クロードさんはイケメンさんだから、きっとそのお姉さんも美人さんなんだろうな。

あまりの痛みから明後日の事を考えて現実逃避をしてしまう。

ウカさんは私を励まそうとそう言いながら何故か歌を歌い出した。

生憎この世界で歌を聞いた事がない私は何の歌か全然分からない。

聞いた事のない歌だけど、どこか神性な空気が満ちて来る歌でお腹の痛みも何となく柔らかくなった。

「エトラ、姉上が来たよ」

クロードさんの声にそっと目を開けると、クロードさんとは対照的な輝くようなプラチナブロンドと金色の瞳が目に入って来た。

けど、クロードさんのお姉さんだと言う事はその溢れんばかりの美貌が全てを物語っている。

そう、只者ではないと言う事だ。

「本来なら後数年は掛かると思っていたんだが、まさかギリギリで間に合うとはな」

「本当に、この世界にとっての僥倖です」

金髪お姉さんの言葉にクロードさんも同意する。

「エトラのお願いを聞いた時は多少ン無理をしたが、今となっては感謝しかないな」

悶々とお腹の痛みを抱える私の頭の上で話をする二人。

「すみません。今緊急事態ですのでお話は後にお願いします」

お腹を抱えながら訴える私に金髪のお姉さんは「そうだった、すまん」と言って私のお腹に手を当てた。

「ウカ、クロード、二人とも私の肩に」

金髪のお姉さんがそう言うと心得たとばかりに右肩にウカさん。

左肩にクロードさんがそれぞれ手を置く。

「ここの三神が揃った。新たな神使(しんし)の誕生を願う」

金髪お姉さんがそう言うと三人から目に見えて力が湧いてくるのが分かった。

魔術に疎い私でさえ分かる程の圧倒的な力。

それに、さっき金髪お姉さんは「さんしん」って言ったけど、

その「しん」ってどの字な訳?

いろいろな事が起こりすぎてついていけない。

前世を思い出してからの現実が目まぐるしく、そろそろキャパオーバーなのかもしれない。

だって、前世から現在までお産なんてした事もないし、いや、前世の知識でお産については分かっているけど、これって何か違うと思うんだよ。

ヒッヒフーとかって言うラマーズ法とか色々あるじゃない。

「出て来たぞ」

金髪お姉さんの声で現実の引き戻された私が見たのは、お腹の上に大きな光の塊が表れ、それがまるで卵の殻を破るかのようにパラパラと音を立てて崩れて行く所だった。

そして、殻が全て崩れさった場所には小さな光輝く生き物がいた。

「ピー」

可愛く鳴いたそれは紛れもなくドラゴンの形をしていた。


「えっ、何か想像と違っているんですけど」

お読みいただきありがとうございます。また読んで頂けたら幸いです。

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