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ウカさんからの祝福

あれから気持ちの沈んでしまったウカさんは義務的に私たちを礼拝堂まで誘導してくれる。

「クロードさん、良いんですか」

私はウカさんを指し示しクロードさんにさっきの言葉のフォローを促すが

「大丈夫です。何時ものことですので」

と飄々とした返事が返ってくる。

そんなやり取りをしている内に神殿の礼拝堂へとたどり着いた。

と、言うのも入口を入って直ぐに礼拝堂があったからだ。

ここの神殿の造りは外見は大きいが本当にそれだけしかないのだ。

他に部屋もなく何処で寝起きしているのか、また、トイレは無いのか?と疑問になる。

「あの、ウカさんは何処で寝起きされているのですか?」

クロードさんにこっそりと問い掛けると「ああ、そうか」と何かを納得するようにクロードさんが相槌を打つ。

「神の成り立ちには二種類あるんだ。人々の信仰する心から生まれた神と言われる存在と、その神より神性を与えられた存在の亜神の二種類だ。前者は神殿に祭られている依り代に宿り食事も睡眠も必要としない存在。後者は食事も睡眠も取るので居住区を必要とする存在になる。まあ、多少食べなくても大丈夫だし、睡眠を取らなくても大丈夫ではあるんだけどね」

「もしかして、昨日頂いた非常食は」

「亜神の非常食と言うべきかな。仙人の食べ物とも言っている地域はあるね。亜神との付き合いもあるから一応持ち歩いている」

そう言ったクロードさんは何故か「持ち歩かなければ良かったよ」と苦笑いをする。

「ウカ、そろそろお祈りをするから君は戻ってくれるかい?」

クロードさんは話題を変えるかのようにウカさんを見て促す。

「はい。クロード様」

ウカさんは深々と一礼すると礼拝堂の奥の中央に佇むウカさんに似た真っ白い像へと手を差し出す。

ウカさんの体が発光したかと思うとスッとその光は像の中へと吸い込まれれて行き、ウカさんの姿が消えた。

「では、最初の神、農業神へ礼拝しましょう」

私はクロードさんに促され、ウカさんの像の前まで進むと両ひざを着きお祈りのポーズを取る。

こんな時何を祈れば良いのだろうか?

『神様』

取り合えず呼び掛けてみた。

すると

『はい』

と単調な返事があった。

『えっ、声が』

心に直接響く声に驚いてしまう。

『心話ですから当たり前です。まずは、貴女の名前を』

『エトラ・カーターです』

『それは、貴女の本来の名前ではない。けど、一理はある。本来の名前を』

正式な場所はおろか、何処でもまだ使った事のない名前。

『ミリア・エトラ・レノル』

そう心の中で呟くと体の中心からほんわりと暖かなモノが込み上げて来た。

『我と契約せし者ミリア・エトラ・レノルに祝福を』

ウカさんの光に包まれた私は穏やかな気持ちで目を開けた。

お読みいただきありがとうございます。また読んで頂けたら幸いです。

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