農業神様登場
神殿の造りは古代ギリシャを思わせるものだった。
「世界観が・・・」
てっきり、何とか教会とか何とか寺院とか、まぁ、色々妄想していたんですよ。
因みに、私が今住んでいる町は教会が主流だったから尚更そのように思っていた訳で。
「ここの建物は全て建築の神の力で建てられているんだけど、新しい神が生まれる度に新しい神殿を一人で建築しているために、新しい様式の建物への建て替えが出来ないでいるんだ。まあ、原因は新しい様式で新しい神の神殿を建てると昔からの先輩の神のひんしゅくを買う恐れがあるために、なかなか新しい建物が建てられないのが現状なんだけどね」
「神様の世界も縦社会なんですね」
世の無常を知ったような気になってしまう。
「力がモノを言う世界は縦社会が基本なんじゃないかな?その良い例が魔族かな」
「魔族もいるんですか?」
さすがファンタジーな世界だ。
「そうだね、けど、この国は今外と交流出来ないから、それはおいおいと」
クロードさんは曖昧な笑顔で私の質問を軽くスルーする。
上手くはぐらかされてしまった。
確かに、この世界が二国だけというのも変だと思っていたんだよ。
話によるとルワール国は元々ヤマト島まであったとの事で、それを考慮して考えると二国を合わせると国土としては結構大きくって、アジア大陸位はあると思う。
だから、この世界がこの二国だけと言われても納得出来たんだけど、どうやらそうではないらしい。
つまり、新天地があると言うことだ。
コロンブスじゃないけど、ワクワクするよね。
「で、エトラには巫女としての修行も兼ねてここの地にいる全ての神殿を巡って貰いたいんだよね。この中の案内役は快く引き受けるから、前向きに取り組んで欲しい」
「はい」
そして、私達は農業神の神殿に一歩足を踏み入れた。
「ウーちゃん居るか?」
クロードさんは近所に家に行くような軽い口調で入口を入って行く。
「誰だ、私をウーちゃんと呼ぶのは」
神殿の奥から颯爽と現れたのは美しい女性だった。
濃い黄金色の髪にアーバンの瞳。
そして、豊満な体つきは女性の私からしても、とても魅力的に見えた。
農業神と言うからてっきり男性の神様かと思っていました。
こう、農業しています、みたいな。
けど、実際は傾国の美女張りの美しい女性の神様だった。
「おお、クロード様ではないですか。ようこそお出でくださいました。さあ、どうぞ中へ美味しいお酒が手に入った所ですので」
農業神様はクロードさんを目視するや私には気付く事なくクロードさんだけを誘う。
「すまん。今日は連れもいるんだ。酒は今度な。姉上と一緒に来るよ」
クロードさんは丁重に農業神様のお誘いをお断りする。
そこで、初めて農業神様は私の存在に気が付いた。
「クロード様のお連れ?」
ジッと私を見た農業神様は
「おなごとな」
キレイなお顔の眉間に深いしわを寄せた。
美人は眉間のしわも美しいようだ。
私は無難に現実逃避をするのだった。
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