最初の神殿
草原を抜けた先に沢山の大小様々な神殿が見えて来た。
「ここは、昔、聖地と呼ばれていた場所でした。それが、ここに移動してから更なる進化を遂げました。ここは今もなお進化して、日々新たな神が生まれ、日々新たな発見が生まれる場所」
草原が終わった小高い丘から見渡す台地には、見渡す限りの大都市と言える街。
「昔、ここに封印される前は人々に聖地と呼ばれ人々の信仰の場でもありました」
クロードさんと私はゆっくりと最初の神殿が並ぶ場所まで下りて行く。
「神は人々の信仰の力で形を成しています。ここは最初の神が生まれた場所でもあるのです。故に、聖地が完全に破壊される前にここに移動出来たのはこの世界にとって僥倖でした」
クロードさんはふと愁いを帯びた顔で話す。
きっと、クロードさんにとっても大切な場所なのだろう。
最初にたどり着いた所は「ようこそ世界の農場へby農業神」と、とてもアットホームな感じのウエルカムボード書かれている場所だった。
少し離れたところに大きな神殿があり、その前後には耕種・果樹・畜産・花・樹木と書かれた小さな神殿があり、その神殿の後方には様々な植物が植えられている畑があった。
「ここは農業神に関係する場所ですね。それぞれの神殿に付随する植物が育てられています」
クロードさんの説明に横を見ると地平線の彼方まで行くのでは?と思う程に耕作地が広がっていた。
「基本的には中央通りに面した所に統括する神殿が建てられています。目の前にあるのは農業神の神殿でその周辺に付随する神々の神殿が建っているのです。小作地には各種作物が一本づつ植えられていて、新しい品種が表の世界で開発されると自動的に作物がここの耕作地に生える仕組みになっています。ここではその作物の所で願えば発芽から生長する過程を見ることが出来るし収穫もする事が出来ます。但し、そのためには願う者の魔力や神力が必要となります」
神殿の建物の造りも色々で、まるでテーマパークのようでもある。
「今日は農業神の神殿に礼拝に行きましょう」
クロードさんに促され私は神殿の立ち並ぶ中央通りを歩き始めた。
農業神の祭られている神殿は関連している神殿の丁度中央に位置していた。
入口から15分程歩いたところで大きな神殿にたどり着く。
「ここでの礼拝の作法として、初めて訪れる神殿では上位の神殿から礼拝する事になっています。ですので、最初に農業神の神殿から訪れます」
「はい・・・」
クロードさんの「ここでは」の下りで、もしかしたらここにある神殿全て礼拝しなければならないのか?と、内心溜息が出てしまったのは言うまでもない。
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