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再びヤマト島

翌朝、私は自室のベッドの上で目覚めた。

「やっぱり、疲れているのかな」

昨日は台所でハンナさんと話たところまでは覚えている。

けど、そこまでだ。

「昨日も迷惑かけちゃたんだ」

起き上がると着替えをすませ階下へと向かう。

「おはようございます」

台所をのぞくとハンナさんが朝食の準備をしていた。

「おはようエトラ」

ハンナさんは手を休めると私の方へ来る。

「昨日クロードさんと言う方から伝言を預かっているの」

「クロードさんですか?」

いつの間に来たんだろう。

「昨日食べた物だけど、あれを食べると一週間は食事が必要じゃないんだって。だから、儀式までの間みっちり特訓するから島で寝泊まりするよう準備をして来て欲しいそうよ」

「えっ」

一週間も食事が出来ないの?

「つまり、あの苦い丸薬一個を食べたために私は21食の食事を楽しめなくなったの?」

なんて事でしょう。

食は人間の楽しみの一つなのに。

そんな楽しみの時間を21回も棒に振るなんて、ショックです。

「ふふふ、そうね。エトラのお陰で最近は食べる事がとても楽しいわ。あの方達もとても残念がっていたし。食事がこんなに楽しみになるなんてね。益々太ってしまうわよ」

確かに、最近のハンナさんと旦那さんは肉付きが良くなって来ている。

言っちゃえば、近所の方達も最近肉付き良くなっているんだよね。

そのうちダイエットグッズもありかもしれない。

最近商人魂が身に付いてしまったのか、何でも商売にしたくなってしまう。

悪い癖だよね。

「では、クロードさんが待っていると思うので、荷造りしたら行って来ます」 

クロードさんって温和に見せかけて実はスパルタな感じだから。

「ええ、いってらっしゃい。お役目が成功する事を祈っているわ」

ハンナさんはそう言うと私をギュッと抱きしめた。

「はい。行ってまいります。お祖母様」

私はハンナさんと軽い抱擁を交わすと部屋へと戻り二日程度の着替えを準備した。

「では、言って来ます」

誰もいない部屋に挨拶をして私は転移の魔術を発動させる。

昨日嫌と言う程イメージした場所、ヤマト島の祠の前へ。



******


目を開けると、そこは昨日何度もイメージの訓練をした祠の前だ。


「おはよう。エトラ」


私の背後から涼やかなクロードさんの声が聞こえ思わず振り返る。


「おはようございます。クロードさんお早いんですね。もしかして、待ちました?」


現在の時刻は朝の7時ちょっと前だ。

早めに来てクロードさんを待ちながらこの周辺を散策しようと思っていたのだが、どうやら甘かったようだ。


「いえ、エトラの魔力を感じたので私も転移の魔術で今来た所です」


「私の魔力ですか?」

どのような電波を発しているのか、着いたと同時に転移して来るとはある意味怖い。

クロードさんってストー○ーの気質持ちとか?

「気のせいかな?今とても失礼な事を想像しませんでしたか?」

クロードさんが私の顔を覗き込みながら更に怖い事を言って来る。

まるで人の心を読んでいるようだ。

「いえ、全く。魔力感知出来るなんて凄いと思っただけです。他意はありませんよ」

「そうですか?まぁ、良いでしょう。では、今日も昨日行った草原に行きましょうか。今度は私も連れての転移をやってみましょう」

やっぱり、私の心を読んでの鬼畜課題としか思えない。

「大丈夫。きっと出来ますよ」



お読みいただきありがとうございます。

また読んでいただけたら幸いです。

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