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祠と言う異次元

クロードさんにドナドナ、否、お姫様抱っこされた私は目的地らしい場所にあっという間に到着した。

流石大人の歩調、子供の足なら多分倍以上の時間が掛かっていたと思う。

それよりもだ。

お昼の時間は船上だった為に今私は空腹絶好調だ。

そろそろ昼食ですよね、と期待をしつつ辺りを確認する。

目の前には祠があり、その隣には真新しい社が建っていた。

何の飾り気もない場所だが、どこか背筋がピンさせられるような気配が感じられる場所だ。

神社とか神域と言われるような場所になんとなく雰囲気が似ている。そんな感覚。

「さあ、エトラは今から夕方までみっちり転移の魔術取得に打ち込んでもらいますね」

夕方までと言っても既にお昼を過ぎており時間もないし、実は密かにお腹が空いている状態だ。

島に着いたら何か食べ物を頂ける思っていたのはどうやら甘かったようだ。

そんな事を考えていたせいか、思わずグ~っとお腹が盛大に鳴ってしまった。

初対面の人の前でお腹が鳴るだなんて、めっちゃ恥ずかしい。

いたたまれず目を反らすと口の中に何かを放り込まれた。

すごい既視感。

「携帯用の非常食。味はいまいちだけど、とても栄養価の高いものだ」

クロードさんはそう言いながら微笑む。

確かに口の中に入った物は何とも言えない苦みと、それを誤魔化す為に入れたのか、妙な甘味が微妙なハーモニーを奏でていた。

正直不味い。

「非常食、いつも持ち歩いているんですか?」

何とか自分を誤魔化しながら非常食と言われた丸薬のような食べ物を噛みながらクロードさんに問い掛ける。

「まあ、普段から食べているものだからね。いつも持ち歩いているよ」

普段からこんな苦くて微妙な食べ物をいつも食べているんだ。

思わずクロードさんを見ると何かを察したのか微妙な顔で微笑まれた。

「うん。だから、夕食前までにエトラは自宅に戻らなきゃいけないんだけどね」

意味が分かりません。

私が夕食前に自宅へ帰るのと、今の言葉はどういった因果関係が?

苦い味を我慢してごっくんと飲み込む。

「では、行きましょう。ご飯も食べた事ですし」

あれをご飯と言うのだろうか?

お腹は確かに満腹になったけど、食事ってもっとこう楽しいものじゃないのかな?

美味しい食材を美味しいと食べる。

親しい人とその楽しい時間を共有する。

私は前世でそうやって過ごしていた。

まあ、その親しい人は残念ながら恋人でも何でもなく、たった一人の家族であった兄だったけど。

ああ、懐かしいなぁ。

そう言えば、お兄ちゃんはの得意料理って皮付きのフライドポテトだったっけ。

他の料理は壊滅的だったけど、あれだけは旨かったんだよね。

ジャガイモが普通の食材認定になって、ジャガイモがこの世界の人たちに受け入れられたら皮付きのフライドポテトも流通させようかな。

そんな事を考えていると淡い光が辺りを包む。

「さぁエトラ。中に入りますか」

クロードさんが振り返り私を促す。

先程の光は収束して祠の入り口に光の波紋を広げている。

そこへクロードさんは右手を入れ私の右手を自身の左手で掴むみ自然な流れで祠の中へと入っていった。

そして、光のカーテンを潜るとそこは一面草原が広がっていた。

洞窟でも鍾乳洞でもない世界だった。


「ここは?」


「ようこそ我々の世界へ。歓迎するよ新たな巫女」

お読みいただきありがとうございます。

また、読んでいただけたら幸いです。

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