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神の島ヤマト島

「ほら、エトラちゃん。島が見えて来たわよ」

リナさんが嬉しそうに私を見た。

切り立った岩に囲まれたその島は、何処から船が出入りするのか分からない程高い位置に陸がある。

「港とか見えないのですが、何処から島へ入るのですか?」

どう見ても船が着岸出来るような場所は見当たらない。

もしや、島の裏側とかにあるのだろうか?

「この島には海に面した港も浜辺もないの。この島に入れるのはこの島と縁がある者だけ」

ゆっくりとした動作でリナさんは合掌すると、合掌した手の間から光が迸る。

すると、ザザーッと音を立てて切り立った岩の間に小さな川が現れた。

川の幅は丁度船が通れる位の大きさだ。

そして、その川は何故か海から陸へと水が流れている。

まるで川がこの船を招き入れているかのような錯覚に陥ってしまうのは、この現象のせいだろうか。

そして、その川は船を傷付けないようにゆっくりと内陸へと船を誘う。

勿論、船の両サイドには今も私達の頭の上まで切り立った岩がある。

ただ、内陸へと進めば進むほどその高さは低くなって来てはいるのだが。


「この島は外界とは異なっている空間なの。世の常識とは異なる現象が起こる場所で、エトラちゃんにはここで巫女の修行をして貰いたいの。仕事もあるでしょうし、ずっと住んで欲しい訳じゃないの。さっき契約した子うなぎ様の能力を上手く使えば瞬間移動も出来るはず」

さらっと簡単にリナさんは言うが、瞬間移動を単独で出来る魔術師はいない。

加護持ちの能力者が何人か集まって初めて出来るらしいとは遠い昔に聞いた事がある。

「だから儀式までの間、禊とか神事をしていない間に子うなぎ様達と特訓しましょう」

リナさんは目をキラキラさせて私の手を取る。

「大丈夫よ。この島には神使の使い方を教えてくれる特別コーチがいるから」


「特別コーチですか?」

「そうよ、神使の使い方はこの方の右に出る者はいないとさえ思える程に優秀な方よ」

更に神々しく笑うリナさん。

その特別コーチとは、どんな方なのだろう?

あの、常識から逸脱するような行動をとるリナさんがそこまで言う特別コーチとは、果たして普通の人なのだろか? 


まるで走馬灯のようにリナさんと出会った日から今までのエピソードが頭を駆け巡る。


うん。

多分リナさんの言う特別コーチとは普通の人間ではないと思っておこう。

その方が間違いないように思える。

そんな事を考えている内に、両サイドにあった切り立った岩は消えており、目の前には大きな湖が出現していた。


お読み頂きありがとうございます。

また、読んで頂けたら幸いです。

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