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ユリウス殿下と再会。アレックス1

あの結婚式から四十九日が過ぎた頃、俺は国王から呼ばれ王宮の中を歩いていた。

「アレックス、ちょっといいかい」

そう言って俺を呼び止めたのは前国王の息子の第一王子ユリウス様だ。

現在14才のユリウス様は6年後の20歳の時に国王になる。

そういう約束で前国王が崩御した時に繋ぎ役として当時の宰相であり、王弟のハイン様が玉座に着いたのだ。

「陛下は急な用件が出来て今出かけているところだ。ちょっと早いけど、昼食を兼ねて少し話をしないか?アレックス」

「ユリウス殿下お久し振りでございます。お言葉に甘えまして有り難く伺わせて頂きます」

俺はそう言うと一礼してユリウス殿下の後に続いた。

「王女の件は聞きたよ。君も色々大変だったね。何の慰めにもならないと思うけど、今日は君の好きな絶品魔獣肉のフルコースを用意したよ」

「それは・・・ありがとうございます」

陛下からは事前に連絡があり、今日午前中に合う約束をしていたのだが、来てみれば急な用事でいない。

それに急な予定での変更にも関わらず、殿下は私の好きな絶品魔獣肉のフルコースを用意されていたという。

おかしい。


俺は殿下の執務室の隣の応接室へ通された。

7歳の時から殿下とは交流があり、よくここへ来ていた。

たが、1年位前から俺は殿下の所へは行かなくなった。

何故かいつも陛下のところへ行っていた。

今思えば9歳のガキが陛下のところへ入り浸るっていうのはおかしい。

何故それが許されていたのか?何故陛下は俺を側に呼んだのか。

それに、そこで今回の結婚の件を・・・いや、今回の計画を陛下から提案されたのだ。

普通に考えてみれば、貴族の結婚というものはそれなりの理由がある。

勢力争いや利益の追求など今回の結婚でそれが我が家にあっただろうか?いやない。

何故なら今回の俺の結婚はルワール国に宣戦布告するための手段だったのだからだ。

父の意見も聞かず、陛下と共に強行してしまった今回の結婚。

父は猛反対し、俺はそれに逆らった。

その結果、父は結婚式にさえも参加しなかった。

何故そこまで俺は頑なにこの結婚を強行したのか?今になっても分からない。

あの頃のことを考えると頭がぼーっとする。

モヤがかかったような、はっきりしないそんな感じだ。

俺は応接室へ入ると以前からの所定の席に着いた。

「アレックス、今の気分はどうだい?」

席に着くとユリウス殿下はそう俺に尋ねた。

「いたって普通です。ここへ来るのも不思議とすごく久し振りのような感じがします」

俺が席に着くと侍女達が料理を運んでくる。

テーブルの上に所狭しと並べられる俺の好みのメニューたち。

殿下は俺の好みを忘れてはいなかったようで、並んだ料理を眺めながら「どうだい?久し振りだろう。さぁ、召し上がってくれ」

と、笑顔で言う。

「ありがとうございます。では遠慮せずいただきます」

俺はそういうとフォークとナイフを持ち、食事を開始した。

そんな俺の姿をユリウス殿下は楽しそうに眺める。

そして、侍女達が退出すると「どうやら精神系の魅了魔法は解けたようだね」と頬杖をつきながらそう言った。

「魅了魔法?」

食事の手を止めると、俺はユリウス殿下を見た。

「まあ、今回の件は精神支配って言うべきかな?陛下と話した後、その内容に矛盾を感じなかったかい?」

それは先ほども感じたことだ。

いつからだっただろうか?陛下の言うことは全て正しく、陛下の期待に応えようと俺は陛下望むこと全てを全力で成し遂げようとした。

父から苦言を呈されても父が信じられず、陛下だけを信じて突き進んでしまった。何故なんだ?

精神支配?そんな魔法あるのか?聞いたことがない。

「アレックスはヤマタノオロチの伝説を知っているかい?」

「おとぎ話のようなもので聞いたことはあります。でもそれが何か?」

「王家にはその伝承が伝えられている。ヤマタノオロチの八個の頭のうち、七つが切り落とされ、その七つは神となり、残った一個の頭はそのまま体と共にルワールの神の山に封印し、精神はヤマト島の聖なる泉の祠に封印された」

「えっ」

「最後の頭のオロチの能力は精神支配だ。約10年前、今の陛下はそのヤマト島へ行った。そこから全てが始まったんだ」

お読み頂きありがとうございます。

また、誤字報告ありがとうございます。大変助かりました。この場で感謝させていただきます。本当にありがとうございます。

また、読んで頂けたら幸いです。


追伸、執筆のモチベーションアップのため高評価頂けたら嬉しいです。今後も宜しくお願い致します。

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