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ドンさんに事情聴取です

行政官様と契約の話が終わると、私とメイソンさんとドンさんの三人はギルドから出て近くのカフェに寄っていた。


商業ギルドの周辺は企業や個人事業者等が打ち合わせに使う為のカフェも多く、密談も出来るように個室も完備している。

勿論、個室を使う場合は別途個室の使用料もかかる。

今私達がいるのは個室とは違い海の見えるテラスに面した場所に陣取っていた。

人の出入りは良く見えていて、逆に私達は海の背景のためにあえて目を向ける人が少ないような微妙な場所だ。


そんな場所に陣取りメニューを見る。

軽い軽食も出るようだが、先程海の親父さんのおすすめメニューを食べて来た私達には少々重かったので、私はお茶を、メイソンさんはコーヒーを、ドンさんはホットココアを頼み、お茶請けにケーキも注文する。

不思議な事に、この世界にはコーヒーもココアもあり、ケーキも存在する。

実はメニューを見ていて何故か炭酸ジュースが色々あった。

フライドポテトもない世界で炭酸ジュースがある?何かがチグハグだ。


あれ、前にもこんな事、思ったような気がする。

ウエイトレスが飲み物とケーキを運んで来たのでメニューは元の位置に戻す。

ケーキはイチゴのショートケーキで、お茶は紅茶だった。

これで緑茶が出て来たらどうしようと思っていたら紅茶。

世界観で言ったらヨーロッパかな?

取り敢えず、飲み物が来たので軽く乾杯をする。

「今日はお手数をお掛けしました。その後、仕事の方は如何ですか?何か困った事とかありませんか?」

私は一口紅茶を飲むとドンさんに事情聴取を開始する。

いきなり本命をきくのではなく、仕事の話から順に聞き始めた。

「今の所は順調です。毎日数件の相談があり、私もやり甲斐を感じてきていた所です」

ドンさんはそう言うと少し顔の色が悪くなる。

「どうされたのですか?何かお困りの事でも?」

私が問い掛けるとドンさんは「いえ、少々今日の事を思い出しまして・・・」と、眉を下げて話し出す。 

「隣の村の若い者が今朝自宅に来まして、なかなか上手く作物が育たないと相談して来たんです。それで彼に畑を直に見て指導して欲しいと言われたのでその畑を見に行ったんです。行く途中聞いていた内容から大体の事は分かっていたんですがね。そこで先程の行政官様が待っていたのです」

「因みに、その畑の原因の内容をお聞きしても?」

「はい。毎年畑にはキャベツを植えて収穫した後は人参を植えているそうですが、今年はキャベツの後にブロッコリーを植えたのだそうです。ですから」

「連作障害ですね」

「そうです。まだ、その原因は確かではありませんが組み合わせによって作物が育たない事があります。元々は同じ作物を栽培すると起きていた現象で、それを私達は連作障害と言っていました。それで、同じ現象のある事から何らかの理由があり、違う作物でもそのような現象が起きるのだろうと推測され、それらを一括りに連作障害と言っています。今回のキャベツの後にブロッコリーを植えた件も前例があり、話を聞いた段階で大体の想像は出来ていました」

そうか。

この世界では連作障害の理由まではハッキリと分からないんだ。

これって、その理由をここで教えてもいいのかな?

でも、また事が大袈裟になるのは不味いしなぁ。

「う〜ん」

と悩んでいると、ドンさんが更に困ったような顔になる。

「すみません。私がその場で連作障害の事を説明して、彼に着いて畑に行かなかった方が良かったんです。まさか、そこで行政官様が待ち構えているとは思いもせず」

一応、ドンさんと契約する時に現地に行って指導する場合は出張手当を出す話をしている。

彼は空出張する事もなく、こうやって律儀に現地へ(おもむ)き指導してくれている。

真面目で律儀なんだけど、案外お金にがめつい一面もある。

まぁ、無欲な善人よりは欲のある善人の方が話が通しやすいから良いけど。


それに、ドンさんがお金にがめつい理由も子沢山で、色々出費が多くなっているからだ。

「行政官様の件は大丈夫です。それに、行政官様の件も終わって見れば私達の商会に有利な点が多いですし。何も気にしないで下さい」

エトラ・カーターの件を知っている相手だから、味方の内は安心だしね。

そう。

味方の内は。

レンジ氏は何処か底知れない感じがして正直怖い。

でも、それは私の事情。

ドンさんには関係ない。


だから私はそう言ってドンさんを安心させる為に微笑んだのだ。

お読み頂きありがとうございます。

また、誤字報告ありがとうございます。大変助かりました。この場で感謝させていただきます。本当にありがとうございます。

また、読んで頂けたら幸いです。


追伸、執筆のモチベーションアップのため高評価頂けたら嬉しいです。今後も宜しくお願い致します。

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