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私の正体を知っている?

正直、とても美味しいお話であるのは確かだ。

けど、ただそれだけだ。

人手だって地道に探せばきっといつかは良い人材に巡り会えると思うし、資金だって順調に蓄えている。

時間はかかるかもしれないけど、支援者という立場の人と下手に関わって私の出自にバレても不味い。

「あの、折角の・・・」

断ろうと話し出すと行政官様がグイッと握った手に力を入れて私を引き寄せる。

顔が近付いた瞬間、行政官様がニヤリと笑った。

「『貴女の本当の正体を極秘にする処理をしてさし上げる』と、申しているのですよ」

呟くような声が耳元で消えた。

先程まで手を持っていた行政官様の右手がそっと私の頭を撫でた。

「お返事をお聞きしても?」

行政官様はニコリと微笑む。

私の正体を知っている。

ゴクリと生唾を飲み込むと私は再び行政官様を見た。

至って何事もなかったように平静を装う行政官様。

「お申し出、ありがたく承ります。と、お言付けお願い致します」

敗北感しかない。

「分かりました。確かに承ります」

行政官様はそう言うと私の手を離しギルド長の方へ向きをかえる。

「お聞きの通り、ルノー・レンジ様がカーター商会のエトラ様の支援者として、あらゆるサポートをする事になりました。本日お話した外部団体につきましては既に大体の書類は作成しております」

行政官様はそう言うとカバンから分厚い書類を取り出し、ギルド長に手渡しする。

中身をザックリと確認しているギルド長が「流石は行政官殿です。こんな完璧な提案書は見たこともありません」とべた褒めしている。

行政官様が私にも分厚い書類を寄越す。

中身を見ると確かに完璧な企画書だ。

一瞬にして行政官様をスカウト出来ないかなぁ?と真面目に思ってしまった。

そして次に思うのは、この綿密な企画書は事前に下調べを相当した事も裏付けている。

「それと、これはレンジ様からエトラ様への提案書になります」

行政官様はそう言うと2枚の紙を手渡した。

一枚目はごく普通の内容で、人員確保の手助けと資金の出資についてだ。

「出資についてはこの国の国家予算位は支援出来るそうです。が、これはあくまでも事業に対してです。個人的な運用費は該当しません。配当については事業内容と利益を見て要相談としましょう。レンジ様はエトラ様の事業の手助けをしたいだけですので、無理な配当は望みませんとの事です」

行政官様の説明を受けながら2枚目の紙を見ようとめくった瞬間私の手が固まった。


そこには、エトラ・カーター死亡届の原本に書類不備と書かれた紙があったからだ。


お読み頂きありがとうございます。

また、誤字報告ありがとうございます。大変助かりました。この場で感謝させていただきます。本当にありがとうございます。

また、読んで頂けたら幸いです。


追伸、執筆のモチベーションアップのため高評価頂けたら嬉しいです。今後も宜しくお願い致します。

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