アレックスの懺悔4
一話抜けて居る事に今更気づきました。
申し訳ございません。24話に先程割込致しましたので、そちらも宜しくお願い致します。
楽しんで頂けたら幸いです。
あれからだいぶ日が経ち、火事で焼け落ちた屋敷は跡形も無く片付いたが、王女の遺体発見には至らず。
獄炎の魔術の中心だった為に跡形もなく消失したのだろうと言うのが王家の見解だった。
が、この指輪があの炎で全て溶けて無くなるのだろうか?
俺の力も宿っているであろうこの指輪が?
王家からは直ぐに神殿に伴侶死亡の申請をして指輪を外したらどうかと言われたが、婚約者とか面倒なので、縁談避けの為にこのまま着けておくと言ってある。
が、本当の所はもしかしたらあの哀れな王女が生きているのではないかと、小さな希望にすがりたいだけかもしれない。
神殿に申請して、指輪が外れてしまったら王女の死が確定してしまいそうで怖いのだ。
陛下からは好きにして良いと言われているので、その好意に甘える事にした。
また、成人してもいないのに結婚した事で爵位の継承も許され、今は公爵家が持つ爵位の一つであるルブラン侯爵の名を名乗っている。
陛下はきっと俺が爵位を名乗る為に指輪を外さないと思っているはずだ。
爵位を名乗れると言う事は、同年代のどの令息よりも権力があると言うことなのだから。
一応、妻を亡くした夫と言う建前上これから一年は喪に服す事になり、陛下の目もある事から家に引き籠もるつもりだ。
戦争への参加もアカデミーを卒業して騎士の資格を持っていない俺では無理で、今は何もする事がない。
だから、戦争に参加している父に代わり、公爵家の仕事を代理するだけの日々を過ごす。
そんなある日、父の副官であるルマン卿が屋敷を訪問して来た。
父からの手紙を持って来たと言うルマン卿。
「アレックス様。閣下より手紙を二通お預かりしております」
ルマン卿はそう言うと執務机の上に手紙を二通置いた。
俺は手紙を読もうと手を動かすと、ルマン卿の手が手紙の上に置かれる。
「閣下からアレックス様の返答次第で片方の手紙の破棄を命じられております。今からする質問へは建前や妥協は一切不要、正直なお気持ちでお答え下さい」
ルマン卿は怖い位真剣に俺を見ながらそう言った。
つまり、父上は俺がその質問に建前や妥協を挟む可能性があると考えている事になる。
「分かった」
静かに頷くとルマン卿は目を閉じ、父からの質問を伝えた。
「閣下からの質問は『ルワールの王女の死を望むか』です」
最初はそれを望んでいた。
けど、今はどうかと聞かれれば答えに困ってしまう。
何故困るのか。
悪女じゃなかったから?
可哀想な子供だから?
否、そうじゃない。
これは俺のエゴだ。
俺の心が折れないために
「生きてて欲しい・・・です」
それが、俺の答えだ。
ルマン卿は俺の答えを聞くとニマリとほくそ笑む。
「では、こちらを」
そう言って片方の手紙を火の魔術を使い消し去る。
「アレックス様、閣下にはそのようにお伝え致します」
ルマン卿はそう言うと深々と頭を下げて部屋から出て行った。
俺は執務机の上に置かれた手紙を手に取る。
封蝋もしてない手紙は、ルマン卿をそれだけ信頼している父の思いが伝わる。
そして、そっと手紙をとると一枚の紙が入っていた。
手紙に書かれていたのはたった2行。
「レノルの名に懸けて、レノルの名を用いた子供の素性は隠蔽する」だった。
つまり、彼女は生きている。
父はあらゆる機関に間者を送っている。
その父が庇護するのなら大丈夫だ。
「ありがとう。父上」
握っていた手紙の文字が何故か滲んむ。
「あれ・・・何で涙が・・・」
お読み頂きありがとうございます。
また、読んで頂けたら幸いです。
執筆のかのため高評価頂けたら嬉しいです。




