アレックスの懺悔3
あれから一ヶ月後、ザックから調査結果が届いた。
内容は王女ミリアは7歳の魔力判定の結果、何の加護もないどころか魔術の才能もなく、魔力量も平民以下と少なかったらしい。
国王は平民以下の魔力の少ない王女に激怒。
醜聞を隠そうと、王族が罪を犯すと閉じ込められる塔の下の見張り部屋に監禁させ、その後はろくな教育も受けさせず無い者として扱っていたらしい。
まぁ、監禁と言っても鍵を閉められていた訳でもなく、出入りは自由だったそうだが。
食事は侍女達が交代で三食持って行っていたらしい、が、その内容は家畜に与える餌を混ぜていたらしい。
人間なのに、家畜の餌を与えられていた王女。
囚人の服が一枚だけ入っていた謎も、そういった経緯があり、替えの服が囚人服になってしまったのだと想像出来た。
それに、王女は靴も履かずに庭を歩いていたらしく、それを見て侍女達が笑っていたとの証言もある。
兄弟達とも7歳の儀式を境に疎遠となったとあるが、年の近かった第三王子とは時折図書室で会っている所を目撃されている。
王族の教育は5歳から始めるから文字は読めたのだろう。
第三王子とは仲は良いようではなかったそうだが、他の兄弟よりは仲が良かったようだ。
あの結婚式への動向もくじ引きで決まったと言うが、第三王子は風の加護持ちだから、当たりのくじも魔術で引当てたのかもしれない。
現に、我が国の陛下が差し向けた追撃隊も、事前に仕掛けておいた罠にも、どちらも難なく突破し無事に帰国したと言うのだから大したものだ。
しかし、あの戦いを皮切りに両国は戦争に突入した。
とは言ってもルワールと隣接するマルセタの北東部から東部に掛けての隣接する領土だけで、今は小さないざこざが起きているだけで王都は戦争が本当に起きているのか分からない程に平和だ。
まぁ、我が国が奇襲に失敗した時点でこの戦いが不毛な争いでしかなくなったのだが、一度始めた戦を何の理由もなく止める事も出来ず、今は消耗戦をするだけの意味のないものとなっていた。
それに、自国の王を悪く言うのはどうかと思うが、国王はどうにも怪しいと思う。
代理で玉座に座った経緯も、前国王の死も、それに今回の事も。
調べたくても、自分の手駒が殆どない事に気付く。
ザックからはあれ以降何の音沙汰もない。
もしかしたらルワールでの諜報活動がバレて捕まったのかもしれない。
ザックが父に命じられた内容も気になるし。
自分の知らない事が裏で起きている事にも不安が募り、知らず左の手に填めた結婚指輪にそっと触れていた。
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