邪神の呪い
お久し振りです
ちょっと暗めの話になりますが、よろしくお願いします。
一通りの包容が終わると私はジンさんに事のあらましを説明した。
「つまり、そのヤマタノオロチを退治しないと世界が滅びると言う訳だね」
ジンさんは確認するように問い掛ける。
「はい。今直ぐにではありませんが、邪神が復活することになります。神様の神託によると今回最後の生贄を取り込む事でヤマタノオロチは完成体になる為の卵になるそうです。そして、その卵は物理的に壊すことは出来ないそうです」
一応神様の説明通りにジンさんに説明する。
「実はね、ユリアがこの状態になった時に鑑定スキル持ちの者に鑑定して貰ったんだよ。鑑定のスキルでは状態異常も確認出来るからね。それと言うのも王族だけが狙われたようにユリアの両親の月命日の日に突然兄弟皆が倒れたんだが、宮廷医官と神官では治療する事も回復させる事も出来なかったらしいのだ。それで、スキルによる鑑定をして貰った結果、邪神の呪いと言われたんだよ」
鑑定には魔術による鑑定とスキルによる鑑定があるのだけど、魔術による鑑定は確実に見れると言う訳ではないらしい。
例えば相手が自分より能力値が高いと見れないとか、隠蔽魔術などで見れなくされているとか、そういった場合は効力がない。
「先に私の鑑定魔術でユリアを見た時は『瀕死』以外の何も表示がされなかった。だから、原因となる能力値の影響を受けないスキル持ちに鑑定を頼んだのだよ。邪神の呪いなら神の領域になる。私の能力では見る事も出来なかったのだろう」
ジンさんはそう言うとユリアさんの方を見た。
ユリアさんはコクリと小さく頷き、ジンさんの話の続きを話し出した。
「あの日、私はお兄様達に呼ばれて王城に行っていたの。公務の関係で両親の月命日とズレてしまったけど、と呼ばれて」
「ユリアは今の国王と前国王の妹になるんだ」
ジンさんの言葉にユリアさんは一瞬悲しそうな顔になる。
「やはり、あの時にカインお兄様は亡くなられたのですね」
カインお兄様とは前国王カイン陛下のことだ。
新しい歴史の書物には心臓発作と書かれていたが、毒でもなく加齢でもない突然死には良く使われる病名だ。
「あの日、私達は両親の月命日に毎月恒例のお茶会をしていたの。父と母が亡くなってから月命日には必ず兄妹揃って王宮内にある両親のお墓参りをして、その後にお茶を飲んでいたのだけど、今回は公務で時間を取れないからと日にちをズラして皆で集まったのよ。三人で少しお茶を飲んだ辺りから急に息が苦しくなってね。辺りがチカチカと黄金色に見えたと思った瞬間、隣で何が倒れる音がしたの、きっとそれはカインお兄様だったのね」
ユリアさんはどこか悲しそうに自身の手を見ながら最後は呟くように話した。
お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。




