神様を降臨させる資質
「神様を降臨させる?そんな事例は記録されている歴史で聞いたこともない」
レンジさんは驚いたように言うが、えっ、神様って結構頻繁に降臨していますよ。
なんなら、毎日のように降臨して色々な食べ物を食べてますよ。
そう思うが、ふとある事に気付く。
もしかしたら降臨するのにも神力が関係しているのでは?と。
すると、頭の中で「ピンポーン、当たりです」とララーさんの声が響く。
「神様の降臨は奇跡の力。前にも聞いたと思うけど、魔力と神力で出来るコトノ違い。それの尤もたる現象がこの降臨にあるの。我々神は神力のある者にしか降臨出来ない。そこの我の加護を持つ男とて同じこと。いくら加護を持ったとしても体に宿る力が魔力では神はその体に体現出来ないのだ」
ララーさんの説明には何となく腑に落ちる所があった。
基本的に神力を宿すのはこの世界ではヤマト島の住民達。
ヤマト島は閉鎖的に過ごしており、外にその血筋が出ることは滅多になかった。
けど、私の母とか僅かな例外はあった。
でも、本当に滅多にない例外だ。
それと、ヤマト島の住民が閉鎖的だったために神様が降臨している事も歴史に残っていないのだろう。
なので、今レンジさんを納得させる秘策の言い訳をここで使う。
「実は私、ヤマト島の現在の巫女なんですよ。なので、神様の降臨も巫女特権で出来るのです」
嘘です。
リナさんの息子は頻繁に神様を降臨しています。
いや、勝手に降臨させられていると言う方が正しいか?
「ヤマト島は独自の信仰がありますからね。あそこは神の島とも言われていますから、そこの巫女と言うのであれば神様を降臨させられるのも納得出来ます」
レンジさんが恭しく頭を下げる。
口八丁手八丁だが、結論には嘘はない。
「はい。ですのでご安心ください」
私はそう言うとレンジさんの方へと手を差し出す。
「なので、レンジさんの奥様の元へお連れください。神の名の元に最善を尽くします」
私の言葉の後ろでララーさんが「最善を尽くすのは我らでしょう」と、なかなか鋭いツッコミを入れる。
まぁ、そこは何とかも方便って言いますからね。
多少は目を瞑って貰いましょう。
私の差し出した手をレンジさんがそっと取る。
「では、よろしくお願い致します」
何気にレンジさんのエスコートを受けて部屋を後にした。
勿論、レックスさんにはレンジさんがアイコンタクトを送り、そのままここで待機していて貰った。
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