農場途契約
今日は朝から農場へ来ています。
日曜日と言う事で半日お休みの今日、礼拝に行くと言う旦那さんを半ば強制的に連れて来ちゃいました。
農場には貴族が経営しているものと、個人で経営しているものの2種類があり。
貴族が経営している農場は主に家畜を繁殖させて食肉を得る為に行っている家畜農家が多いです。
なので、家畜に与える作物は個人で経営している農場から買っているらしい。
個人で経営している農場も数件の農家がお互いに手助けしあい経営している物が殆どで、それも貴族に食い物にされる原因だろう。
この世界の農場はそれ程の収入がある訳ではなく識字率も悪くて貴族に安く買い叩かれているのが現状だ。
そこで、我がカーター商会の出番だ。
約二週間荒稼ぎした私達の商会には潤沢な資金がある。
それと言うのも、あの後発売したピーラーとスライサーが馬鹿売れしているのだ。
結局人手が足りず、メイソンさんが師匠にもお願いして生産していた。
いや〜、良い仕事してくれていますよ師匠。
その内王都に行く機会があれば挨拶に伺おうと思う。
人脈は大切だ。
そして今日、商売で抑えておきたい食材調達の為に、ここカエテ村に来ている。
ここは、ハンナさんの息子夫婦が贔屓にしていた取引先で、あの大量のジャガイモの生産地でもある。
そこのお世話役兼村長と話をしにきたのだ。
「貴方がウィル殿の息子さんのエトラ様ですか。」
村長のドンさんの家に着くや、大変な歓迎を受けた。
ウィルとはどうやらハンナさんの息子さんの名前のようだ。
状況が状況なだけに聞けなかったんだよね。
そもそも、あの大量のジャガイモは元々貴族の経営している農場からの発注だったが、大量の食肉が必要になりキャンセルされた物だったらしい。
違約金もなく、一方的な解約に困っていた所をウィルさんが全て買い取ってくれたらしい。
安い買い物でもあるまいに、ウィルさんのお人好しな所が、垣間見えるエピソードだ。
まぁ、お人好しと言うならハンナさん達も人の事は言えない位お人好しだと思う。
こんな得体の知れない子供を自身の孫として迎え入れたのだから。
そんな訳で、カーター商会としての食材の確保はウィルさんの人脈作りのお陰ですんなりと得られた。
勿論、弱小の農家さんを助ける手助けになるように、組合も結成。
作付けの指導や家畜を初めて始める人の為に家畜の貸し出し等の補助も行う事にした。
家畜の貸し出しは牛の場合は親牛を2頭貸し出して繁殖をして貰い、10年以内に産まれ2頭で返して貰うと言う感じの制度だ。
自転車操業に近い運営だが、その案を提案するとドンさんは酷く感銘を受けた様子だ。
ギルド長さんにも後日カーター商会の生産分野の一つとして申請。
ドンさんの口利きで二週間後にはマルセタ南部の殆どの個人農家がこの組合に加盟する事になる。
こんなに大掛かりになるとは、その時は思ってもみなかった。
お読み頂きありがとうございます。
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