レンジさんの所へ行くのは
モリーさんに頼んてレンジさんと連絡をとって貰うと是非来て欲しいと言われた。
ただ、今レンジさんはマルセタの自宅にいるらしく、奥さんも動ける状況でないためにこちらから出向く事になった。
レンジさんの自宅はレノル領にあるらしく、ここからレノル領までは馬を使っても1週間はかかるらしい。
挙げ句、あの時間のかかる関所も通らなければならないし。
でも、レノル領だなんて、結婚した時のことを思い出すなぁ。
あれ?
一度行った事のある場所だから転移の魔術で飛べるのでは?
光か闇の神殿に行けば、彫像等を媒介に神様の力も借りられるはず。
そうすれば数日の旅で敵の目も誤魔化せるかも。
勿論敵とはジョシュアを生贄にしたい一行様のことだけどね。
「モリーさん、神様にお願いしてレノル領まで飛べると思います。ただ、問題は座標になる場所に人がいると困ることなんですが」
向かった先で人と衝突事故は困るし、変に人目がある所で突然何も無い所から人が現れると良からぬ誤解の元になるかもしれない。
主に悪魔とかヤバ目の存在と思われるとか。
だって、レノル領で記憶にある場所は少ない。
それに、最後の記憶の場所はもうないだろうから。
「ご心配なく、その辺りはレンジ様に連絡してどうとでもなります。で、どの辺りに転移されますか?」
私の人生のターニングポイント。
「レノル領の領主の館に近い神殿です」
私が結婚した時に式を挙げた神殿。
光と闇の双子の神を祀るあの神殿。
「ああ、領主が良く参拝している神殿ね。分かったわ、何時でも連絡出来る。で、何時行きますか?」
直ぐにでも行って欲しいと態度で表すモリーさんに思わず笑みがこぼれる。
「アンドリューお兄様達が戻ったらすぐにでも事情を説明して向かいたいと思います」
なにせアンドリューお兄様たちには私たちがいなくなっている間のアリバイ工作をしていただく必要がある。
「あの、ちなみにですが、レンジ様のもとへはミリア様の他に誰か行かれますか?」
モリーさんの問い掛けに
「一応私の護衛冒険者のレックスさんに同行を頼もうかと思っています」
一瞬モリーさんが微妙な顔になった。
多分自分も連れて行って貰いたいのだろう。
でも、ごめんね。
今の安定していない磁場では二人が限界だと思う。
それで言えば転移経験者のレックスさんを同行させた方がより安全だと判断したまで。
「大丈夫だからね」
私は再度モリーさんを励ますように微笑んだ。
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