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私の方が感謝だよ

「ジョシュアさんは私と生贄を交代したくて会いたいと言われたんですか?」

正直に言えば生贄の交代だけだったらば、何も私と実際に会う必要もないと思う。

自分で生贄になりたいと話せば、きっとジョシュアの継母、喜んでその話を関係者たちに通しただろうし、何もこんな回りくどいことをしなくてもよかったと思う。

「ジョシュアさんは何故私に直接会いたいと思ったんですか?」

今更だが、その理由が気になった。

ジョシュアは私の言葉に困ったような顔をする。

「先見の結果と違う未来を歩くミリア様に会ってみたいと思いました。これまで僕がどう頑張っても変えられなかった未来を変えて生きているミリア様にどうしても会いたかったんです」

「実際に会ってみてどうですか?」

私はちょっと意地悪な顔でジョシュアに問いかけた。それくらいは許してもらえても良いと思う。

「強い未来のパワーを感じます。だからこそ運命を切り開けたんだと僕は思います。僕にはあなたのような強さが欲しい」

切実にそういうジョシュア。

「大丈夫です。信じるものは救われると神は言っています」

どこの宗教団体だろうか?

なんとなくだが、さっきから自分の言っていることがだんだんと宗教勧誘に近いものを感じているのは私だけだろうか?

「運命は自分で切り開くものなんです。ジョシュアさんは今までずっと先見の力で見たことに囚われすぎてると思います。今回のことで分かったと思いますが、先見はあくまでも将来そうなる可能性の選択肢のうちの一つにすぎないと思います。なので、例えジョシュアさんが未来を見て絶望するようなことがあったとしても、それは必ずしも正しいとは限らない、と言うことです」

私はそこまで言うとジョシュアに手を差し出す。

「これで納得してください。私は死ぬために生贄になるのではない。ジョシュアさんも死ぬために今を生きているわけじゃないって。生きている限り生きているんです」

うん、自分で言っていて意味がわからない。まあそこは許してください。私の差し出した手に躊躇うようにジョシュアが手を取る。

「ミリア様。ごめんなさい。僕が間違っていました。許してください」

「許します」

それに正直あの事件がなければ私は多分前世を思い出していなかったし、神様と出会うこともなかったと思う。

それを思えば、あの出来事は私にとってのターニングポイントだったんだと思う。

だから、今は正直余計な事を言わないでくれたジョシュアに感謝だ。

「ありがとうございます。ミリア様」 

涙ぐむジョシュアに「私の方こそ感謝だよ」と、思ったのは言うまでもない。

お読みいただきありがとうございます。また読んで頂けたら幸いです。

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