洗顔石鹸も
翌朝はとても爽やかに目覚めた。
ホットミルクが良い仕事をしたのか、久し振りに熟睡出来た。
「おはようございます、ミリア様」
私が起きると直ぐにモリーさんが声を掛けて来る。
いつから控えていたのか、疑問である。
「先ずは洗顔をお願いします」
モリーさんは洗面器にお湯を張ったものをサイドテーブルの上に置いた。
「ありがとう、モリーさん」
私はモリーさんにお礼を言うとモリーさんは一礼して後ろへ下がる。
パシャパシャと顔を濡らし、洗顔用に持ち歩いている石鹸を麻袋から取り出すと泡立てて顔を洗った。
「ミリア様、それは何ですが?」
モリーさんは私の使っている石鹸に興味が湧いたようだ。
「洗顔用の石鹸です」
神様とコラボして作成した泡立つ石鹸だ。
この世界の石鹸はこれ程泡立たない。
洗顔に泡は大切だ。
泡は命だ。
故に美の神様に泡の大切さを説いて共同作業で作ったのがこの石鹸だ。
今はまだ私が試験的に使用している段階だ。
モリーさんはジッと石鹸を見つめている。
もしかして、
「モリーさんも欲しいですか?」
私が問い掛けると、モリーさんは一瞬間を取りコクリと頷く。
私は麻袋からまだ使用していない石鹸を取り出すとモリーさんの方へと渡す。
「裸で申し訳ないですけど」
私から石鹸を受け取ったモリーさんはポケットからハンカチを取り出すとそっと石鹸を包んだ。
「もし、気に入ったらまた上げます。感想も聞かせて貰えると嬉しいです」
私の言葉にモリーさんはコクコクと頷く。
これは、本格的にコスメに手を出すのも良いかもしれない。
美はどの世界でも女性にとって大切だから。
ヤマタノオロチ討伐に成功したら、レンジさんに相談しよう。
先ずはヤマタノオロチだ。
モリーさんから手渡されたタオルで顔を拭いて私は試作品の化粧水と乳液を麻袋から取り出す。
ペタペタとつけていると、またもやモリーさんがジッと見つめている。
私は麻袋からまだ使用していない化粧水と乳液を取り出すとモリーさんへ渡した。
「これも感想を聞かせて下さい。もしお肌に合わないようなら使用を止めて直ぐに相談してくださいね」
勿論、美の女神様と入念に模索して作った商品だから多分大丈夫だろうが、人によってはアレルギーが出るかもしれない。
そこは商売をしている人間としては見落としてはいけない事だ。
私の手から化粧水と乳液を受け取ったモリーさんは「ありがとうございます」と嬉しそうに笑う。
やっぱりモリーさんも女性なんだと思ったら瞬間でもあった。
お読みいただきありがとうございます。また読んで頂けたら幸いです。




