ゴンちゃんとニョロちゃんがお膝の上
もともとゴンちゃんとはお話は出来ていなかったが、何となく意思疎通というか、何となく言いたいことが分かると言うか、そういうのは出来ていた。
けど、今はゴンちゃんが言いたい事が全然理解出来ない。
「加護の力は使えば使う程に親和力が高まる。例えばだが、ある程度親和力が上がるまで神使と一緒に居るとかしたら親和力は高まるんじゃないかな?」
レックスさんがそう言うとゴンちゃんが私の元へと飛んで来て、ちょこんと膝の上に乗っかった。
ドデンと得意げに私の膝の上に座るゴンちゃん。
ちょっと可愛いかも。
思わず癒やされていると、向かいに座っていたレックスさんが「うっ」と微妙な声を上げた。
レックスさんの方を見るとニョロちゃんがレックスさんの膝の上にトテンと乗っかっている。
「何で俺も?」
レックスさんが困った顔をするが、流石に追い払う事はしないようだ。
そう言えば、ニョロちゃんは属性別に存在している事を思い出す。
「あの、もしかしたらそのニョロちゃん、火属性のニョロちゃんかもしれません」
レックスさんは戦闘時に良く火属性の魔術を使用していた。
その使用頻度を考慮するに、レックスさんは火属性に特化していると推察される。
本人に聞いた訳ではないので断定は出来ないが、多分間違いないだろう。
「あの、レックスさんもルワールへ入ってから魔術に違和感がありますか?」
自分だけの違和感でないなら、これはヤマタノオロチ戦はキツイものになる。
私の問い掛けにレックスさんは深いため息を吐く。
「何時もより威力が落ちているし、使用する魔力も増えたように感じていた。正直に言えばヤマタノオロチとの戦いに不安材料を投げるのが憚られて言えなかった」
レックスさんは正直に自分の胸の内を話すと苦笑いする。
「いえ、私も違和感があった時に正直に言っていれば良かったんです。すみません」
私が頭を下げると、レックスさんは「お互いに遠慮したのが良くなかったな」とポンと私の頭を撫でた。
「ここからは敵地も同じだ。違和感があったり、気になる事は正直に話し合おう。俺はエトラの護衛なんだから」
そうだった。
レックスさんはレンジさんが派遣してくれた護衛だったんだ。
年齡同じだった事もあり、友達感覚で一所に旅をしていたけど、レックスさんからしたら私はただの雇用主でしかないのだ。
「あれ?」
「どうした?」
何でだろう。
そう思ったら悲しくてなって来た。
心配そうに私を見るレックスさん。
「ごめん、ちょっと色々不安になって。でも、大丈夫。私はポジティブな人間だから」
そう言って誤魔化した。
だって、私はレックスさんの事を本当に友達だと思っていたんだから。
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