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お茶にしましょう

ゴンちゃん達を眼の前に、これからどうしようか?と思案していると部屋のドアがノックされた。

「ミリア、俺だ」

レックスさんの声だ。

私はドアを開けてレックスさんを招き入れる。

「どうぞ」

レックスさんはお茶のセットの乗ったカートを押して入って来た。

「お茶にしょう」

そう言うとカートをテーブルの隣へと着ける。

そして、レックスさんは手慣れた感じでお茶の準備を開始する。

本来なら私がするべき事なのだろうが、あまりにもレックスさんが手慣れた感じで準備をするので、上げ膳据え膳で私は椅子に座ったままレックスさんがお茶の準備をするのを眺めていた。


トポトポとお湯を注ぎ、高い位置からカップへとお茶を注ぐ。

あれは、テレビのドラマとかで良く出来る執事さんがやっていた技だ。

30センチ程離した高さから注がれたお茶をそっと私の前に置く。

「いただきます」

と言い、口をつけると丁度良い温度と味に驚きが隠せない。

「レックスさん、めちゃくちゃ美味しいです」

思わず感嘆する。

「一応一通りのマナーは学習したからね。昔取った杵柄とでも言うのかな。体は案外覚えているようだ」

自嘲するように笑うレックスさん。

過去の事には触れない方が良いと何となく理解した。

そして、レックスさんは自身のお茶を淹れるとお茶請けのお菓子をお皿に乗せて私の方へと渡してくれる。

「今日はマドレーヌを焼いていた、らしい」

お皿に乗ったマドレーヌはほんのりと温かい。

「ありがとう、レックスさん」

私はそう言うとマドレーヌを一口食べる。

マドレーヌは優しくて甘いバターの味がする。

「凄く美味しいです」

私の感想にレックスさんは照れくさそうに笑った。

「ところで、そこの生き物は何なの?」

レックスさんは私のベッドの上に座っているゴンちゃんとニョロちゃんを見て私に問い掛けた。

別に秘密にしている訳でもないので正直に答える。

「実は、神使なんです。私の使う魔術は神様の加護を直接使うんですが、ルワールに入ってから何かに阻害されるのか、魔術の発動に使用する魔力が多くなって、それで神使の力を借りる事にしたんです。けど、意思疎通が上手く出来なくて」

殆ど本当の事だ。

違うのは使用している力が魔力ではなく神力だと言う事だ。

「ルワールに入ってからですか」

レックスさんは暫し思案する。

「実は、俺も違和感を抱いていたんだ。もしかしたらルワールは思った以上にヤマタノオロチの支配下になっているのかもしれない」

レックスさんの言った事はララーさんが言った事と同じだ。

「多分、エトラはあまり加護の力を使った事がないのではないか?」

勿論、加護の力を貰ったのは最近の事だ。

あまり使ってないと言うのはあてはまる。

「はい。あまり使う事はなかったです」

「魔術にも親和力と言う物がある。使用頻度で高まるものだ。この地に来てから親和力が低下したんだ。きっとエトラもそのせいで魔力の消費が大きいのだと思う」

親和力か。

言われてみると、あまり気にしてはいなかった。

「これは神使との交流でも言えるのだが、多分神使との親和力が高まれば会話も出来るはず」

「なるほど、一理あるかも」

レックスさん、脳筋だと思っていてごめんなさい。

頼りになります。

お読みいただきありがとうございます。また読んで頂けたら幸いです。

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