表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
213/270

何故か、転移出来ない

馬車の旅はやはり順調と言う訳ではなかった。

途中何度か馬を交代させながら進ませる。

初日の襲撃が嘘のように あれから何事もなく時間が過ぎる。

今日はシルの町から50キロ離れた場所にあるセナの町に着いた。

セナはルワールの南に広がる貿易の盛んな街で、人口もそれなりに多い。

ここで当面の食料や物資を購入してから出発することになっていた。

なので、今日はここの宿に泊まり、明日1日は資材を購入したりする予定だ。

私とレックスさんはその間、自由行動で好きな場所を見て回っていいと言われている。

物資の購入はゼバスさんとモリーさんの2人でするらしく、私は市場調査も兼ねてセナの町を堪能しようと計画を立てていた。

宿屋は中の上位の所で、裕福層や商人が泊まっているらしい。

ルワールの食事はちょっと前のマルセタとそれほど変わらない料理で、どうも芋料理はまだ浸透してないようだ。

まあ、マルセタに芋料を復興させたのは両国が戦を始めた後だったのもあり 、マルセタで芋が大ブームとなったのも、きっと戦争の為に備蓄が減り家畜の餌をとうとう食べたくらいに思っているのだろう。

ルワールからしたらマルセタが食糧難になり家畜の餌を食べるくらい酷い状況と思っているのかもしれない。

ルワールで根菜が食卓に上がるのは人参とか大根、かぶなどの毒素や苦みの少ない物だ。

サツマイモもそう言った意味では食べられても良いと思うのだが、どうやらジャガイモと同じだと思われているらしく、サツマイモも家畜の餌になっていた。

もしかしたら、サツマイモを切って放置して、食あたりになったのでは?と推測される。

そう言った感じで本当に芋系は食卓に上がらないのだ。

つまり、ジャガイモやサツマイモがないと言う事だ。

そして、ここからが大事、どうもジャガイモとサツマイモの見分けをあまりしていないようで、家畜の餌はたまに分別されずに混じっている時もある。

とても残念な事だ。

冬になったら焼き芋とか美味しいから、これも流行らせるのもありかな?と、変な商売気が湧いてしまう。

ルワールの味付けも結構単調で、最近マルセタでカーター商会特製ソースや調味料、これ一つで何でも万能タレみたいな調味料を出しているが、そういうのもないためか、どうしても味が単調で仕方がない。

主に塩胡椒を使った料理が多く 味付けもとてもシンプルだ。

まぁ、素材の味を生かしていると言われればそれまでなのだが。

「リリア様、ルワールの食事はどうですか?久しぶりに食べるルワールの食事は結構美味しいでしょう」

とゼバスさんが言うが、正直味が単調すぎてそれほど美味しいとも思えない。

いや、もともとルワールの食事自体が懐かしいという気持ちになることは正直ない。

何せ、食べていたのがカチカチのパンとか、具の入っていないスープもどきみたいなものだったからだ。

味があるだけましと思う程度で、あの味に慣らされたせいか、嫁ぐ前に食べた料理を美味しいと思う事はなかった。

カーター家に来てから海の幸が入ったスープを飲む内に、味覚にも磨きがかかったと思う。

本当にリナさん達に会いたくなってきた。

「長旅でしたので、夕食が終わりましたらゆっくりお休みください」

ゼバスさんはそう言うと私達を部屋へと案内する。

部屋は一人一部屋の割当になっていた。

確かに、私は今ミリアに扮装しているが、実態はエトラと言う男の子という設定だ。

モリーさんと同室は有り得ないし、かと言ってゼバスさんやレックスさんと一緒の部屋もないと思う。

部屋はベッドにサイドテーブルがあるだけの6畳程の広さの部屋だ。

ゼバスさん達と部屋の外で分かれて室内に入った私は早速リナさん達に会う為に転移の魔術を展開する。

何時も通りにイメージを作り、神力を注ぎ込もうとした瞬間、弾かれた。

「えっ!!」

何が起きたの?

再びイメージをして神力を注ぐ。

バチンと何かに弾かれる。

「嘘、転移出来ない!?」

お読みいただきありがとうございました。また、読んで頂けたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ