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シルバー辺境伯、ママチャリに挑戦

翌日、刺客さんたちの尋問をシルバー辺境伯に頼み私達はシルの町を後にしようとしたが、シルバー辺境伯が自転車に興味を示し、出発を一日遅らせる事にした。


「これが昨日見た自転車なるものか」

シルバー辺境伯は私が昨日乗っていたママチャリにいたく興味を示す。

そして、私はシルバー辺境伯に自転車の乗り方を実演して見せる。

「このように乗ります」

私は子供に教えるようにサドルに腰掛け、ペダルを軽く踏む。

すると自転車はゆっくりと前に進んだ。

「おー!何とした事か」

シルバー辺境伯は感動したように拍手を鳴らす。

こんな事で拍手を貰うなんてちょっと恥ずかしい。

「では、シルバー辺境伯もどうぞ」

私は自転車を降りてシルバー辺境伯へ自転車を譲る。

シルバー辺境伯はゆっくりとハンドルを取ると緊張したようにサドルに跨った。

そして、ペダルに足を乗せる。

「ふん」

と勢い良くペダルを踏むシルバー辺境伯。

そして、ゴンと言う音を立てて横に転倒した。

「な、何故だ?どんな軍馬でも乗りこなせるのに」

シルバー辺境伯は信じられない思いで自転車を見る。

あー、なんかこのような場面、前にも見たような気がする。

「シルバー辺境伯。お近付きの印に自転車を後日お贈りします」

私はシルバー辺境伯にそう申し出る。 

「今回色々お世話になりましたから、そのお礼です」

勿論、それはあくまでも建前だ。

そう、思い出したのだ。

バーナードさんの事を。

SSランクの冒険者、決して運動神経が悪い訳でもないのに未だに自転車に乗れず。

シルバー辺境伯もルワールの砦と言われる要塞都市の領主にしてその名を馳せている武将だ。

けど、先程の状況を見て悟った。

自転車は運動神経が良くても乗れるとは限らない。

馬に慣れてしまった昨今の兵士。

慣れてしまったが故に、新しい感覚に適応出来ないのかもしれない。

ここでシルバー辺境伯が自転車に乗れるまで滞在する事になったら日にちが幾つあっても足り無い。

「これでもカーター商会とは懇意にしているんです(私が会頭だけどね)。なので、私のお願いなら多少の無理はしてくれます」

私はそこまで言うとニコリとほほ笑んで見せた。

「だから、是非プレゼントとしてお納めください。そして、それで乗る練習をして下さいね。シルバー辺境伯がご自分の自転車に乗る姿、楽しみにしていますから」

よし、言った。

これで大丈夫だろう。

お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

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