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結構同情的でした

ミリア元王女。

彼女は7歳の時の魔力判定時に平民並の魔力しかないという理由で、王宮ではとても冷遇されていた。

王女をいないものかのように扱われ、そして10歳の時に政略結婚のため、敵国であるマルセタに嫁いだのだ。

しかし、嫁いだ以降の王女の行方は依然として知れず、国内ではマルセタに殺されたのではないだろうか?という噂も出回ったほどだ。

何故なら、ミリア王女はマルセタへ嫁いだ時に一緒に同行したルワールの一向が、ルワールへ帰る途中マルセタに襲撃され、それを皮切りに戦争になったからだ。

国民の殆どがミリア王女はもうすでに亡くなったと思っていた。

ところが、実際はどうだろうか?目の前にミリア王女が現れ元気なご様子。

どうやら噂はあくまでも噂であり、彼女はマルセタでひっそりと暮らしていたのだろう。

そして、彼女は今ルワールのためにヤマタノオロチの生贄になるためと言って戻ってきたのである。

なんと健気なことだろうか?これほど素晴らしい王女を我々ルワールの国はあれほど冷遇していたのか。

今心底恥じる気持ちでいっぱいである。

シルバー辺境伯はそう思いミリア王女に一礼した。

「護送車の話ですが、もしやミリア王女が狙われたのでしょうか?」

シルバー辺境伯は私に同情的な目線を向けながら問いかけた。

「はい、そうです。事情はゼバスさんからお聞きしております」

「ミリア様。私のことは呼び捨て下さいと言ったではありませんか」

ゼバスさんは演技めいた声で言う。

いいえ、言われてませんよね。

しかし、確かに考えてみれば私は一国の王女だった。

まぁ元だけどね。

けど、今は元は付くけど王女と言う身分を名乗っている。

つまり、ゼバスさんは私の臣下ということになるのではないだろうか?いやいや待てよ待てよ。

一応嫁いでるんだからそれはないよね。

それも敵国だし。

「ゼバスさん。私はもう既に。マルセタに嫁いだ身。ですので、王女という身分は剥奪されています。なのでそのように呼び捨てになど出来ません」

一応、儚げな演技をしてみた。 そして、そんな私の態度にシルバー辺境伯は目をうるませながら

「なんとおいたわしや〜」

と感無量なご様子。

えぇっと、一応演技なんで、と内心ごめんなさいと思いながらシルバー辺境伯を見る。

そして、見てみればシルバー辺境伯を含め、後ろの一行が何故か涙をこらえながら、私たちの会話を聞いているではないか。

何でしょう?この学芸会並みの演技で感動されるってちょっとないですよね。

「あのシルバー辺境伯、私のことは王女として扱わなくて大丈夫です。一人のマルセタの貴族としての扱いで構いません。よろしいでしょうか?」

「勿論です」

「実は夫のアレックスも来ておりまして、今回の生贄の件をしぶしぶ承知してくれました。でも、最後まで一緒に行きたいと私の旅に同行してくれたんです」

それを聞いたシルバー辺境伯はさらに号泣する。

いやーなんですかね?この方めちゃくちゃ涙腺弱いのではないでしょうか?

シルバー辺境伯御一行様の感激具合を見ていると、とても悪いことをしているような気になってしまうのは気のせいだろうか?

ごめんなさい。

本当にごめんなさい。

でも仕方がないんです。

これも大義の為なんです。

「なんと、御夫君も共に・・・」

更にシルバー辺境伯は涙を流す。


あれ?

何か勘違いしているような。


ゼバスさんはニコリと良い笑顔で私に頷いてみせた。

お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

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