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メイドさん視点

今回、ジン様の命令でルワールへ行く事になった。

あのバカ息子(ここ重要)の妻であり、ジン様の義理の娘になる女の護衛としてだ。

噂では魔力も平民並に低く、教養もない、王族として公務の場にも出たことがない王女。

ルワールでは冷遇されており、今回の結婚はルワールの王族からしたら、お荷物の王女を処理できる渡りに船な縁談だったと言う事。

でも、実際に見て見れば、噂とは嘘が多いものだとつくづく思わされた。

まぁ、実際はあのバカ息子が色やらかしてしまったが、今回二人に会ってみて思ったのは、案外上手くやっているんじゃないか?と言う事だ。

「ん〜」

どうやらそのバカ息子が起きたようだ。

「目が覚めましたか?」

私が声をかけると、気怠げに起きたバカ息子は辺りを確認し「エトラは?」と問い掛ける。

「ゼバス様とシルの町に護送車を手配しに行きました」

それを聞いたバカ息子は「そうか」とため息を吐いた。

「ところで、父上直属の情報部隊の貴女が何故ここにいるのですか?」

おや、意外とそこまでバカではないらしい。

「確か、名前はミモザだったか」

「今はモリーと名乗っています」

「で、今回はどんな仕事で俺達と接触したんだ?」

「ジン様がエトラ様と仕事上の協定を結んでおります。将来的に見て、得難い逸材と判断し、支援している次第です」

私の説明にバカ息子は考え込む。

「確かに、エトラの発明した物は全て素晴らしいものだ。俺では到底考えつかないくらいに」

何故かバカ息子はミリア様を誇らし気に言うが、私の見立てではこのバカ息子はミリア様の正体に気付いていない。

いや、むしろミリア様うんぬんよりも、エトラ様として特別な存在と位置付けているようにも思われる。

これだから、友人も初恋もまだの青二才はたちが悪い。

エトラ様に成りすますミリア様へ向ける自身の感情を正しく判断出来ていないではないか。

バカもここまで来ると大変面白いですがね。

ジン様は二人には干渉せず、護衛の任務に尽力せよと言われていたが、何故か二人を見ていると私の裏の顔が出て来そうになる。

まぁ、弟のザックからも言われていたが、二人の今後は二人が決める事。

私はちょっとだけ人生の先輩として二人の背中を押すだけ。

まぁ、その押す方向も気分次第ですけど。

「老婆心から一つだけ言わせて貰うが、お前の過去はいつか必ず清算することになる。が、その結果を決めるのは今からの行動次第だと言う事を忘れるな」

本当ならこんな事は言わないのだが、何故か二人を見ていると言わない訳にはいかないような気持ちにさせられる。

「まぁ、次期主様と認めるかと言われたら、今のお前では『無い』な。最低でも自分がやらかした事の決着くらいはつけろ」

これくらいは言っても罰は当たらないだろう。

せいぜい頑張れ、若者。

お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

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