表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/269

新商品ピーラーとスライサー

「エトラの描いた通りの物が出来たと思うけど」


翌日の朝一でメイソンさんはピーラー一号を持って来た。


出来栄えは上々。

「凄いです。私の思っていた物、そのものです」

完成したピーラーを手始めに人参に当ててみる。


スルリと皮がむけ、その切れ味も素晴らしい。


「見事です」


そう言って私は半分に切ってあるキャベツにピーラーを当ててスッと引いた。

パラパラと薄く落ちるキャベツ達。


「キャベツの千切りにはもう少し大き目の方がいいな」

メイソンさんは私の手元を見ながら思案する。


流石職人、追求心が凄い。

「スライサーはどうだ?」

流石にガラスの入れ物はお門違いらしく、全て鉄で作られたスライサー。

近くにあったキュウリで試し切りをする。

スラッスラッスラッと薄く切れるキュウリ。

これで酢の物も手軽に出来る。


「なるほど、これは刃の角度によっては色々な厚さの物が出来るな。他にも応用が効きそうだな」


メイソンさんは更に思考する。

「野菜はいい感じですね。この切れ味ならお肉とかも、この技術があれば薄く切る事が出来ると思います」

「なるほど、けど、薄い肉なんか食べて美味しいのか?」

この世界のお肉は全てブロック売りだった。

つまり、お肉は家庭で食べる大きさにそれぞれ切ると言う事だ。

素人さんにお肉を薄く切る事が出来るのだろうか?

否、出来ないだろう。

肉と言えばステーキが定番の世界だ。

ローストビーフは見た事もない。

あれは調理が難しいからなぁ。

と、途中から違う事を考えていた。

前世では婚活の為に料理教室にも通っていた。

当時はどうせお店で出来合いを買えば良いのに無駄だと思っていたが、今は感謝しかない。

ありがとう前世のお母さん。

無駄な事なんてなかったよ。


「今度、お肉を挟む商品を考えているんだけど」


「肉を挟む?」

実は昨日、卵サンドイッチを作ったのだ。

以外と好評で、メイソンさんも虜にした。

「昨日の卵サンドより美味しいよ」

「あれより旨いのか?」

メイソンさんは目をキラッキラさせながら私を見る。

「因みに、今日はツナマヨです」

マヨネーズがあるとか、本当に不思議だ。

聞く所によるとマヨネーズはサラダに使用するのみだった。

「何だ、その美味しそうなネーミングは」

メイソンさんは昨日から家の商品を差し入れに持って行ってから、その商品の虜になってしまったのだ。

これが胃袋を掴むと言うことだろうか。


本当に簡単な料理でスマン。


「今のも商品として出すのか?」

旦那さんが私達のやり取りを見ながら声をかけてくる。

「はい。あると便利な道具ですし、売れると思いますよ」

私の返答に旦那さんは数秒考え込む。


「じゃあ、商業ギルドへ商品の申請をした方が良い。特許の問題もあるからな」

そうか特許か。

「もしかして、料理も特許の対象でしょうか?」

ポテトフライとか色々あるし。

「料理は基本的に特許の対象外なんだ。但し、料理の本を出せば印税は入って来る。後、新しい食材の発見は場合によっては陛下からの報奨の対象にもなる。が、大体は商業ギルド経由での報奨になる」 

旦那さんはそこまで話すと私の頭をそっと撫でた。

「儂らも大分年をとった。これからはお前達の時代だ。このパン屋の品物も大分変わってしまい、時代に付いて行くのが大変だ。そこで、エトラにこの店を譲ろうと思う。勿論、今までと一緒に儂らも調理はするが、ここからエトラ達の新たな商会を作っても良いと考えているんだ」

旦那さんはそこまで言うと寂しそうに微笑んだ。



お読み頂きありがとうございます。

また、読んで頂けたら幸いです。

執筆のモチベーションアップのため高評価頂けたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ