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ダンジョンで飯を食べるの?

深く潜る程に、ボス戦をクリアした時にゲットするアイテムのレア度が上がる。

それは普通の宝箱のアイテムとは桁違いの攻撃力や防御力を持つものだ。

ダンジョン特有の魔素で生成されたアイテムは神様でも驚く程のレアアイテムを生むことがあるらしい。

はっきり言うと、市場価値がもうもの凄いらしい。

50階層のボスの討伐アイテムと言ったらめちゃ高で、ドロップアイテムだけでも一財産出来るんじゃないだろうか?と言われるくらい、すごいものが入ってることもあるらしい。

別に軍資金が欲しいとか言ってるわけじゃない。

でも、お金はあったに越したことはない。

なんせ、これから自分の祖国に帰るのだ。

この国ではバーナードさんが顔が利くために、色々と優遇された面もあった。

町に入る時の関税や通行税、そういうものが一切かからないのは全部バーナードさんのお陰だ。

でも国境を超えたらどうだろうか?

あの国はどうなってるんだろうか?

自分を虐げた国だ。

それなりに酷い通行税を取るところがあるのかもしれない。

そう思ってしまうのは、私があの国でされて来た扱いのせいなのだ。

国境を越えたら元の身分に戻ることになる。

いや、実際は元の身分になったように偽装して入るというのが正しい。

あくまでも私はその本人ではないということになっているからだ。

そこのところはレンジさんがうまくレックスさん達に話しているらしいが、果たしてそれがどこまで通用するかは分からない。

でも、レックスさんは私のことを男だと思っているから、そこは大丈夫だと思う。

なにせレックスさんの言う所の親友だし、親友の言うことは疑うことはしないでしょう。


「おい、そろそろ飯の時間じゃないか?」

ダンジョンの途中でバーナードさんが昼食を要求する。

現在50階層の通路の途中。

いつ何処からA級ランクの魔獣が襲ってくるかも分からない。

そんな場所で

「昼飯全部持ってるだろう。俺に昼飯を抜けというのか」

と通路で路上するバーナードさん。

そこですか?

「わかりました。バーナードさん。じゃあ少し早いですけど、ここで昼食にしましょう」

私はそう提案した。

するとバーナードさんは

「それならいいよし。多めに寄越せよ」

と言ってドデント座る。

何度も言うがここはまだダンジョンの、それも通路のど真ん中である。

そんなところでへっちゃらに「さぁ、飯だ」なんて言う人はそうそういない。

さすがSSランクの冒険者である。

やることが違う。

私たちは諦めたように、バーナードさんと一緒にダンジョンの廊下にドデント座ってお昼の準備を始めた。

お昼はケイレブさん特製のサンドイッチづくしだ。

それも肉を増しましで、

「今日は何とサイコロステーキが入っているサンドイッチもあるんです」

ゴロゴロとサイコロステーキが挟んである。そのまま入れてもよかったのかもしれないが、何せかぶりついた時に肉が切れないと大変なことになる。

なのでサイコロステーキを入れたらしい。

もちろん間にはレタスや玉ねぎ、そして特製のソースもつけてある。

このソースはカーター紹介で販売している特製ソースだ。

ありがとう、我が社に貢献していただきまして、なんて思ってしまう。

「牛肉用に作ったタレなのでとてもおいしいはず。さあ、どうぞ」

ケイレブさん特製サイコロステーキサンドイッチをバーナードさんに渡した。

パクリとどう見ても一口で食べれないような量を簡単にペロリと平らげてしまう。

一瞬の出来事だ。

流石バーナードさん、あの量を一瞬で、正直味わって欲しかった。

本当にケイレブさんがかわいそうと思ってしまう。

そして、バーナードさんはサンドイッチもっと寄越せと直ぐに催促する。

「はい」

私は次にコロッケパンを渡した。

それもパクリと一瞬で消えてしまった。

どうなっているんだろうか?バーナードさんの口は普通の大きさに見えるが、一瞬で消えてしまった。

「師匠、もう少しゆっくり食べてください」

レックスさんが指摘する。

まぁ、そんな会話をしても多分今まで受け入れては貰えなかったから、こういう現実なんだろう。

けど、バーナードさんはバカ言うんじゃないと鼻で笑うようにレックスさんをいなした。

「いいかダンジョン内で食べるということが、常に命に関わっている事を忘れるな。ここはダンジョン内、生と死の隣り合わせだろうと、どんな状況でもすぐ対処できるように、食べ物は直ぐに食べる。これが鉄則だ」

いやいやいやそれはおかしいでしょう。

どういう神経してるんだろうか?

そもそも魔獣の気配とか何とかサーチして途中で対処できることもで出来ますよね?と思うが、その考えも途中で辞めた。

意味がない。

バーナードさんは脳筋だ。

そういう細かい芸当ができないし、出来るようにも見えない。

「いいか、男はな、拳で語るんだ」

また変なことを言い始めたよこの人。

「魔獣が出たらまずは獲物で叩く切る。そして落とす、これだ。そして、瞬きの内に全てが決するんだ。その間にのんきに食事なんて食べてられると思うのか?」

いや、食事に注意してるのがバーナードさんですよね?と思う。なにせ一回に食べる量が半端じゃない。

「筋肉を維持するためには、肉は必須。たくさんの肉を食べて筋肉を養わなくてはいけない。いいか、これは大切なことだ。人生において何を養うか?それは妻に筋肉だ」

それなんかおかしいです。

普通は奥さんや子供っていう所じゃないでしょうか?

養うんですよね?

養うんですよね?

「師匠、それは師匠だけですよ」

レックスさんが再び突っ込みを入れている。

こんな会話を延々と何年もしてきたのだろうか?

この2人と思いながら、それでも治らないバーナードさん。

「どれだけ言っても師匠には響かないんですね」

そう。バーナードさんは多分キリさんの言うことしか聞かないんだと思う。

なんかとても平行線を辿っていてわかち合ってるようには見えなかったんだけど、何を言ってもバナードさんは脳筋だから理解できなかったんだと思う

無限ダンジョンの攻略で私はある悟りを開いた。

レックスさんが強いのは一重にあの無謀なバーナードさんのしごきがあったからだと。

よくこんな試練を10歳の子が耐れたものだと本当に思う。

私は途中からレックスさんに助けられながら、無限ダンジョンを更に攻略をしたのだ。

お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら嬉しいです。

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