無限ダンジョンへ挑戦
ただいまバーナードさんとレックスさんの3人で無限ダンジョン攻略に挑戦中です。
実はあの後にユグの町まで行き経緯についての説明をした際にアンドリューさんに話してレックスさんが払った10万リラは戻宿屋から返金してもらった。
しかし、レックスさんは一度払ったものだからと飄々とした態度に私は腹を立ててしまった。だって十万リラだよ。
つまり日本円にすると10万円だよ。
それが戻ってきて、嬉しそうでもなく「ふーん」くらいにしか思っていないなんて、どういうことだよ。
お前、一般市民を舐めてんのか?という気分だ。
そんな感じで、私がレックスさんに抗議すると、レックスさんは「勿論、戻ってきたのは嬉しいよ」と笑顔で対応したけど、あれは絶対に私が怒っているから、そう言ったに違いない。
ここで価値観の違いにカチンときてしまった。
「まぁ、とりあえず、何だ、旅はまだまだ続くのだから仲良くしな」
とバーナードさんが中に入ってくれたけど、そう言いながらバーナードさんが笑っていたのを私は見逃さない。
庶民感覚が抜けない私も悪いのかもしれないが、でも言わせてほしい。
お金は1円でもお金なんだよ。
ああ、何か悔しい。
いつかレックスさんが慌てふためくところを見てみたいと思った。
うん。
そうだ。
絶対いつか見てやるんだ。
変な目標が出来た瞬間でもあった。
無限ダンジョンには一度最奥まで攻略したバーナードさんがいるために結構深く潜れるらしいが、それでは、私のレベル上げにならないと断固抗議した。
二人とも深く潜りたい気持ちもあるだろうが、今は私の護衛任務中なのだ。
依頼主の言うことは聞くものである。
ということで、一階層から順に攻略することに決まった。
基本的に一階層は雑魚キャラで冒険者を始めたばかりのものでも倒せるというくらい弱い。
そして2階層3階層と進むにつれて、段々とその敵は強くなっていくことになる。
なので、最初の1階層、2階層、3階層と私はボスキャラ優先で最短ルートを歩くことにした。
もちろんアイテムがある部屋は見逃してはいない。
だって表示が出るじゃんない。
『宝箱があるよ』
みたいな。
そして、私のスキルは何と素晴らしいことか、レアアイテムかそうじゃないかまで分るのだ。
もう、これは神スキルだと思う。
最高です。
神様ありがとう。
うきうきとレアアイテムをゲットしながら私たちはダンジョンの奥へ奥へと潜って行く。
大体10階層まで行ったあたりでボスキャラの強さが激変した。
今までたまにすれ違っていったであろう冒険者たちともそれほどすれ違わなくなり、やはり十階層ともなると違うだろうかと肌で感じた。
「この辺の雑魚キャラはCランククラスの冒険者で余裕だろう」
バーナードさんの説明を聞き、つまり私では余裕ということだと理解した。
しかし、今までの敵が弱かったために、その力の違いに俄然緊張感が走る。
けど、バーナードさんが言うように、そこそこ手こずるも何とか倒す事が出来る。
「うん。大丈夫」
そんな私はボスキャラで苦戦する事になるのだが。
「な〜に、10歳のガキでも一人で倒せたんだ。お前なら出来る」
バーナードさんの掛け声とは裏腹にレックスさんが遠い目になった。
ああ、きっとその10歳の子供はレックスさんの事だったんだ。
どこか納得した。
お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。




