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仲間割れの先に

子供の体と大人の体では睡眠薬が利くまでの時間に差がある。

では、大人には効かないのでは?と思うかもしれないが、何せ盛られたのは象でも半日は起きない睡眠薬だ。

象にも効くのだから大人にも効く。


「そろそろ良い頃合いじゃねぇか?」

一人の男がそう言うと席から立ち上がった。

「ああ」

ボンヤリと返事をする仲間にその男は訝しむ。

「おい、起きろ。寝ている場合じゃねぇ」

船を漕ぐ仲間にその男は怒鳴り散らす。

「おい、店主。まさか俺等にも睡眠薬を盛ったんじゃないだろうなぁ」

殆どの仲間達が眠そうにしている事にその男は店主を疑った。

その男は食べ物は食べずに酒だけを煽っていたのだ。

「ち、違う。俺じゃない」

「お前、俺等を眠らせて自分だけ金を貰おうとしたなぁ」

そう言えば、この部屋にあるお皿にだけ睡眠薬入りのシチューを入れたので店主は薬を飲んでいない。

けど、それが逆にこの男の疑う心を刺激したのだ。

「今まで何十年と世話をして来たよなぁ。それを」

男の拳が店主を直撃する。

勢い良く飛ばされる店主。

店主は普通の大人の男性程度のステータスしかない。

方や盗賊とは言え冒険者崩れの男だ。

力の差がある。

男が店主を殴った時に、奥の部屋から一人の冒険者が現れた。

「やぁ、何やってんの?仲間割れか?」

男は闇の司祭の服装で立っていた。

「ああ、あんたか。実はこいつが俺等を裏切ったんだ」

「ふ〜ん。そうなの」

司祭はそう言うと辺の様子を見る。

「ハァ〜、またこのパターンか」

司祭は深いため息を吐くとツカツカと男の方へと歩み寄る。

「もう少し使えるかと思っていたんだけど、君は何の役にもたたなかった」

司祭はそう言うと男を闇の魔術で拘束する。

「ねぇ、他の仲間も教えて欲しいんだけど。早くしないとまた横槍が入るから」

「何言ってんだ。お前も裏切るのか」

男は信じられないと言うように司祭を見た。

「裏切るも何もなぁ」

嘲り笑うように言う司祭。

「ああ、久しぶりにユグに来て見れば、余程ユグには変な縁があるようだ」

司祭はそう言うと窓へとやって来る。

「やぁ、こんばんは。ちょっと交渉しようか」

司祭は飄々とそう言うと私の方へと歩み寄る。

「こいつにはまだ聞きたい事がある。で、残りのヤツはお前等にやるから、それでどうだ?」

それでどうだと言われても。

「一応ギルドマスターと相談したいのですが」

そう、勝手に判断は出来ない。

「はぁ~、そう来るか」

司祭は頭をポリポリとかく。

「大体、貴方こそ何者なのですか?」

外からも見ていた限りは仲間と言うより。

「そいつは賞金首ハンターのゼンだ」

二階から降りて来たレックスさんが司祭の方を見てそう言った。

「ああ、やっぱりか。あの時も俺の獲物に横槍入れてくれたよな。今回のは横取りだし。お前等潜入調査舐めてんのか?」

どうやらご立腹のようだ。

「何故か、そうなるだけだ」

レックスさんも深いため息を吐いてゼンさんを見た。

「やっぱ、あの時のガキか。大きくなったなぁ。まぁ、ヘタレな所は相変わらずかぁ」

ケタケタと笑うゼンさんに、レックスさんが冷ややかな目で見た。

「あの、お二人はお知り合いなのですか?」

何となく聞いてみると、二人とも嫌な顔になり「「んな訳あるか」」と、とても息が合っていた。

ん〜。

どうだろう。

仲が良さそうだけど。

「まぁ、良い。交渉の時間だ」

司祭はそう言うとフードを下ろした。

「えっ!!」

お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

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