甘い水攻撃
スポ根のような熱い馴れ合いを繰り返すアグニさんとレックスさん。
「お前のその融通の利かないところ好きだぜ」
アグニさんはそう言うとレックスさんの背中をビシバシと叩いては豪快に笑った。
「ありがとうございます」
レックスさんはそんなアグニさんを上手にいなす。
後で聞いたのだが、この時のレックスさんは「酒飲みには下手に逆らわない方が良いんです。師匠で嫌と言うほど学習しました」と返された。
よほどバーナードさんに調教されたのだろう。
そんなレックスさんとアグニさんのやり取りを見ていた他の神様達も、いつの間にかレックスさんに話し掛けている。
最初は遠巻きにしていた神様達も、アグニさんと打ち解けたレックスさんを見て次第にレックスさんに近付いたようだ。
「ほら、これをやろう」
神様達は嬉しそうにレックスさんに甘い水をあげる。
気付けばレックスさんの周りには沢山の甘い水が置かれていた。
ほれ飲め、やれ飲めとレックスさんは甘い水攻撃を受ける。
そう言えば、私もここに来た時に甘い水攻撃を受けたな。
懐かしくレックスさんに対する甘い水攻撃を見ている。
そう言えば、あの時の私も結局朝まで全ての甘い水を飲んだのは今でも忘れられない思い出だ。
レックスさんは片っ端から甘い水を飲むと「美味しいです」「甘いですね」と簡単な感想を述べる。
けど、気を付けよう。
神様達は加減を知らない。
あまり御礼ばかりしていると大変な事になる。
「ほれ、もっと飲め〜、やれ飲め〜」
神様達は楽しそうにワンコそば宜しくレックスさんの飲み干した器に甘い水を入れて行く。
あの水は神様達のしゅくふくが入っていてとても有り難いお水なのだ。
勿論レックスさんはそれを知らないはずだが、次々と出される甘い水を飲み干して行く。
明日はきっと甘い物は見たくないだろうなぁ。
と何処かの同情してしまったのは言うまでもない。
そして、そんな感じで夜は更けて行った。
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「そう言えばララーの姉貴。何時まであの二人がしている指輪の魔力を隠すんだい?」
結婚指輪は男性側が子供の頃に祝福を受けながら神殿に指輪を預けてお互いを守るようにと魔力をこめる。
今エトラ達がしている結婚指輪にもその魔力が宿っているのだ。
つまり、同じ魔力が宿っている事はある程度魔力のある者なら分る様になる。
けど、今はその魔力を上位の神によって封じているのだ。
たから誰も気付かない。
「エトラがあいつの事を思い出したらな」
ララーはどことなく楽しそうに言った。
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