神様達と花祭
私はレックスさんを連れて聖域にあるウカさんの神殿へと飛んだ。
毎回持ち回りで行われている宴会は本日ウカさんの神殿となっている。
突然現れた私達に驚きもせず神様達が迎えてくれたのは嬉しい。
「おお、エトラじゃないか、今日は来ないかと思っていたぞ」
「ほらほらここに座れ」
気前よく私の前に甘い水を置く神様達。
私は「何時もありがとう」と言うと、先程町で買ってきた飲み物と料理を取り出して並べる。
「おやおや、これは人間達の食べ物だなぁ」
「私はエトラが作る料理の方が好きなんだけど」
神様達はそう言うとケラケラと笑う。
「ところで、そっちの人間は誰だい?」
神様達がレックスさんに興味を示した。
勿論、私以外の人間を連れて来ればそうなるのは分かっていたけど。
「アグニ、この人間はお前が面倒を見ろ」
ララーさんが私の後ろから現れてレックスさんを引っ張るようにアグニさんの所へ連れて行く。
アグニさんは火の神様でララーさんとは仲が良い。
「お前にはこいつの面倒を見る義務がある」
ララーさんはどことなく冷たくアグニさんを見る。
アグニさんは「分かりましたよ」
と諦めたように言うと、レックスさんに「こっちへ来い」と短く告げた。
レックスさんがアグニさんの隣に移動する間、レックスさんを見定めるようにジッと見る。
「初めまして。レックスと申します。今、エトラさんの護衛の任務を就いていますので、本日はここへ同行させていただきました」
レックスさんは礼儀正しくそう言うと皆さんに一礼してアグニさんの隣に座った。
ララーさんはとても楽しそうにそんなレックスさんを見た。
「へー、護衛なんだね」
他の神様達はそう言うとフムフムとレックスさんを見る。
一瞬にして、先ほどまでの楽しい雰囲気ががらりと変わり、レックスさんの吟味タイムになってしまった。
「挨拶が終わったんなら早く座れ」
アグニさんはそう言うと自分の隣をトントンと叩いた。
どうやらアグニさんがレックスさんの相手をするようだ。
「俺はお前と少し話をしてみたい。早くここに座れ」
レックスさんはチラリと私を見てコクリと頷き、アグニさんの隣に座る。
アグニさんは火の神様で苛烈なところがある事で有名だ。
アグニさんはレックスさんが隣に座ると自身が飲んでいた酒を杯に注ぎレックスへと渡す。
レックスさんはまだ未成年なのにと思いながらもレックスさんはこっくりと頷きその盃を受ける。
そしてクイッと一気に飲んでしまった。
瞬間、レックスさんはゲホゲホと咳き込みながら辛そうに埋まる。
「そいつはスピリタスだ。ふむふむ。一気に飲んだか」
アグニさんケラケラと笑いだした。
それにつられて皆さんもケラケラと笑う。
「レックスさんが飲んだのってお酒ですよね」
一応確認しておく。
勿論毒だと思っているわけではない。
「それはなあ。酒の神様が作った96%のアルコールだ。普通なら飲めねえ。俺だから飲めるのだ」
アグニさんはそう言うと、更にお酒をグリッと飲んでしまった。
どれだけお酒に強いのだろうか?昔、ウイスキーをストレートで飲んでみたことあったけど、めちゃくちゃ喉に来たのを覚えている。
レックスさんは声も出せないでいるとララーさんが近付きレックスさんの首に手を回した。
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