友達とは
町には色々なお店が並んでいた。
主に、神様を模った彫像や絵姿やお守りなど、神様を崇める為の品が並んでいる。
そして、飲食出来る物はお酒と甘い水としてジュースが置かれている。
食べる物は自宅で食べる用にとお惣菜が売られている。
あくまでも自宅用で、外で食べる様な感じではない。
私は手当たり次第に飲み物やお惣菜を買い込む。
ただ単にお祭りだと思っていたけど、よくよく考えてみると神様達と毎月決まった日に宴会をしていた事を思い出す。
「そう言えば、年に一回は甘い水を飲んでいたけど、今日だったんだ」
毎月の宴会で神様達はお酒を交わし、私は子供だからと果実水を飲んでいたけど、年に一回だけ甘い水だった事を思い出す。
呟くような独り言にレックスさんが反応する。
「甘い水は花祭に嗜む物です。高級品の砂糖を使った水で、子供達にも好評なんですよ」
「そうなんですね」
神様達といると高級品の感覚が鈍る。
だって、塩でも砂糖でもお酒でも製造する為には同じ位の神力を使うから、これが安くてこれが高級品と言われても分からないのだ。
けど、そんな神様達と毎月楽しく宴会していたのだ。
これも一応接待だ。
神様達との関係を良好な物にするためにはやはり宴会は良い場所になる。
毎月欠かさず出席していたものを、今回から休むのは忍びない。
「あの、レックスさん。今夜は知り合いの所へ行きたいのですが」
遠回しにレックスさんを別荘へ先に送って行きますか?と問おうと話を切り出す。
けど、
「では、俺も一緒に行きますよ」
とレックスさんが申し出て来た。
普通、友達の知り合いの所へ行きたいと思うだろうか?
いや、無い。
「あの、無理をしなくて大丈夫ですよ。先にレックスさんを送ってから行きますから」
そう、何せ神様達は面白い事が好きなのだ。
きっとレックスさんは良いおもちゃにされてしまう。
老婆心から言っている事なんですよ。
「いえ、友達の知り合いは友達だと師匠が言っていました。ですので、ついて行きます」
えっ、バーナードさんがそんな事を?
バーナードさんには友達はいませんよね。
「あの、因みに聞きますが、バーナードさんの友達って」
「勿論、キリさんと伺っていますよ。唯一無二の友達だと」
やっぱりそうですか。
あれはどう見てもキリさんに嫌がられてましたよね。
「昨日の夜の状態を見ると、友達とは言えないかと思います」
一応訂正しておこう。
私の言葉に、レックスさんは少し思案する。
そして「そうですね。あれは親友と言うのでしょう。羨ましいです。俺達もあんなふうになれたら良いですね」と、とんでもない勘違いをかました。
バーナードさんとキリさんのような仲なんて正直ゴメンだ。
どうやら師弟は似るらしい。
ここまでの勘違いは見たことがない。
「分かりました。私の知り合いの所へ一緒に行きましょう」
神様達にレックスさんの勘違いを正してもらわねば。
お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。




