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昼時の野営地には誰もいないよね

野営地に到着すると、そこには誰もおらず、私達は木陰の下に移動して遅めの昼食にする事にした。

麻袋からお昼用のサンドイッチと水筒を取り出すと気分はピクニック気分だ。

「では、いただきましょうか」と言って、レックスさんにサンドイッチと水筒を手渡しする。

本日の昼食はローストビーフ入りのサンドイッチとコロッケを挟んだサンドイッチの2種類が入っている。

「ケイレブにサンドイッチを教えてから色々とアレンジを効かせてくるようになったな」

レックスさんはサンドイッチを頬張りながら感心したように食べる。

確かに、私が教えたサンドイッチより遥かに高級感を醸し出している。

流石はレンジさんの部下なだけある。

レンジさんの部下は皆さん有能なんだよね。

「結構ボリュームがあって食べごたえありますね」

特にお肉が多くて良い。

「それにしても、エトラは本当に凄いよ。クーラーにヒーターだっけ、あれだけでも一財産作ってしまうし」

ええ、その一財産は全て王家に滞納した税金として収めましたけどね。

「それと、画期的な料理の数々、嫁さんになりたいってモテモテじゃないか?」

女子にモテてもなぁ。

「来年には社交界に入るんだろう。きっと注目の的だろう」

「すみません。一応私がカーター商会の会頭だと言う事は極秘にしているんです。公の場には何時もキリさんに代理出席して頂いているので」

「そうなのか?何故と聞いても?」

レックスさんは不思議そうに問い掛けて来る。

失礼な事でも純粋に疑問に思った事をストレートに聞いて来る所は正直羨ましい。

「大人相手の商談も多いです。特に貴族を相手にする場合はこんな子供ではバカにされるのがオチですから」

貴族は爵位重視の所がある。

格下は何処まで行っても格下なのだ。

こんな子供の、それも爵位がない元貴族なんて格好の餌食だ。

「そうか、ごめん。どうも、そういった世間の事には疎くてな」

レックスさんはそう言って笑った。

「いえ、良いんです」

「そう言えば、エトラは俺と同じ歳だったよな。確か13歳」

突然レックスさんは私の歳を言ってくる。

「はい。今年の冬になる頃には14歳になります」

私の返答にレックスさんは「フム」と考え込む。

「エトラは結婚しているのか?」

おや、今更の質問が来た。

勿論、ギルド登録は15歳の成人からになっている。

けど、例外がある。

それは結婚している場合だ。

結婚している者は既に社会に対しての責任が生じる事から成人とみなされるのだ。

「はい。一応結婚はしていますよ」

相手には結婚式以来会っていませんけどね。

「その、こんなに長い間会えなくて大丈夫なのか?」

レックスさんはこの旅の事を言っているのだろう。

春から冬に掛けての長旅だ。

新婚さんの心配をするなんて、世界の危機意識が低いのではないだろうか?

「男には、何を置いてもやらなければならない時があるんです。その結果、伴侶に捨てられる事になっても」

一応格好良く言ってみた。

「エヘン」と胸を張る私に、レックスさんはクスリと笑う。

「こんな所にソースを付けて言うセリフじゃないな」

レックスさんはそう言うと私の口の端に着いたローストビーフのソースを指ですくうとペロリと舐めた。

「やっぱり、ケイレブが作ったローストビーフは絶品だよなぁ」

ローストビーフの味に絶賛のレックスさん。

けど、けど、

「な、なんで舐めてんのー!!」

思わず指を指してレックスさんに抗議する。

「なんでって、美味いからだろう」

何の気もないように言うレックスさん。

どうやら情緒の方はまだまだ子供のようだ。


お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

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