レックスさんと再び食事、何回目かな?
キリさんは一体何を調べよう同行を申し出たのだろうか?疑問に思いながら、私はレックスさんと共に別の部屋へと移動した。
通された部屋は前回の部屋とも違い外の風景が一望出来る作りになっている。
大きなガラス窓の外には月明かりに照らされた湖が見える。
この世界のガラスは結構お高い。
それを惜しげもなくこんな大きな物を。
レンジさん別荘に幾らのお金を掛けた事か。
部屋へ入るといつも通りレックスさんが椅子を引きエスコートしてくれる。
「多分ですが、キリさんが調べたかったのは人の動向だと思います。戦争が起きてから隣国との境界近くの町に人があまり近づかなくなってしまったので、その状況を確認したかったのだと思います。噂や情報だけでなく自分の目で見て確認するのでは情報としては雲泥の差があります。多分、キリさんは隣国との境目の町から人が流出しているという話を聞き、どの程度の流出かを確認したかったんだと思いますよ」
なるほど、そうか。
ちょうど進行ルートを変えて隣国との境目の地域を進むというような話をしていたので、キリさんが同行を申し出たのも納得である。
でも、ヤマタノオロチを退治したら、この戦も収束するのではないだろうかと思うのだ。
ヤマタノオロチの影響下にあると思われる王様が正常に戻れば全て丸く収まるような気がする。
だって、誰も戦争なんて望んでないと思うんだよね。
「ちなみにですが、この国の最北端、国境に近い森に無限迷宮があります。そこで、多少のレベル上げをしてから行くのはどうでしょうか?予定よりだいぶ早い速度で進んでますので、余裕で期日には間に合うかと思います」
早ければ早いほどいいという問題ではないことは分かっている。
確実にヤマタノオロチを討伐することが第一なのだ。
「一番の足手まといなのは私ですから、もう少しレベル上げをした方がいいですよね」
そう、そこだ。
私は仕事の合間にレベル上げをしていたために、それほどレベルが高いわけではない。
普通の冒険者程度にはレベルを上げていると思うが、そこまでだ。
ただ、加護をいろいろ貰っているのと、スタンプラリーでもらった神様からの奥の手。
これで何処までヤマタノオロチに対抗出来るかだ。
「その最北端の無限迷宮までどれくらいで着けるのですか?」
地理には詳しくないのでレックスさんに聞いてみる。
「自転車で夜通し走れば多分2日とかからないと思う」
夜通しときた?これだから脳筋な師匠に教えられた弟子は困るんだよね。
「レックスさん、子供にとっての睡眠というのはとても大切なものなんです。睡眠とは日中私たちが見聞きしたもの。そして、体を動かしたもの全てをスムーズに処理するために行われるものなんですよ。つまり、脳の中のデーターを最適化しているんですよ」
レックスさんは意味が分からないという顔になる。
やっぱりデーターは分からないですよね。
「とにかく子供のうちはよく食べ、よく寝てよく体を動かす。これです。よく体を動かすのはクリアしてるので、あとは良く食べ良く寝る、ですかね。まあ、バーナードさんみたいに食べろと言いませんけど、やっぱり体を動かした分は食事を摂取しないといけないと思うんです。特にですね。タンパク質ですよ。疲労した筋肉を回復するには必要だと思うんです。つまり私が何を言いたいかと言いますと、肉を食べるべきです。肉です。特に豚肉が良いんじゃないですかね。鳥の肉も最高です」
この国の料理は主に牛肉を多く使う。
色々なイベントのトップに来る牛肉。
何故ならそれはこの国の人たちはステーキを愛しているからです。
塩コショウだけで味をつけた牛ステーキてすよ。
焼肉のたれとかあっても良いのにと思う程に塩コショウオンリーの味付けです。
そして、本日のメニューはやっぱり肉と言ったら勿論牛肉です。
サイコロステーキです。
「とりあえず食べましょう。明日の糧にするためにね」
と私はレックスさんと乾杯をしてから2人で夕食を食べる。
バーナードさんが自転車に苦戦してから私たちはいつも2人で過ごすことが多くなっていた。
勿論バーナードさんは国境を超えられないので、そこまで私達に同行するはずなのに、自転車のためにバーナンさんは私たちに同行していない。
まあ、バーナードさんの無茶ぶりから解放されたと思えばいいのだろうか?と思うが、多分無限迷宮についいたら師匠復活になるだろう。
「では、明日から夜通しは無しで、ギリギリまで攻めましょう」
明日の朝は早いから。
お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。




