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バイクに乗れても自転車には乗れない

昼食を買ってキリさんの所に戻ると、案の定キリさんは自転車に乗れていなかった。

ペダルを踏むという行為がなかなか難しいらしい。

子供と大人では体を使うことを覚えるというのは、子供の時とは違いなかなか難しい。

ペダルに足を乗せない状態でも乗れているだけキリさんは凄いと思う。

因みにだが、バーナードさんも未だに乗れていない。

今まで色々なダンジョン攻略を一緒にしてきたキリさんが、乗れると思っていただけに乗れないのが意外である。

「エトラ様、本当に申し訳ございません。私の不徳の致すところです。まさかこれほど難しい乗り物とは」

いえ、それ自転車ですよ。

前世では小学生とか普通に乗ってましたから。

「ゆっくりと乗りましょう」

と、なんとなくやんわりと言った。

「この自転車というものは大変素晴らしいものだと思っております。必ず乗ってみせます」

キリさんは、意気揚々と宣言する。

「是非よろしくお願いします」

A級冒険者でも難しいとは、案外、体をこの乗り物に預けるという行為が出来ないのかもしれない。

なので、ちょっとヒント的に言ってみた。

「あの、乗り物に乗るというよりは、武器等の道具を扱っているつもりでと乗るのはどうでしょうか?」

「馬に乗る時みたいなものだと思っていたのですが、どうやら違うようですね」

馬と自転車では根本的に違うよね。

ちょっと違うけど、前世でバイクには乗れるけど、自転車に乗れないっていう人がいた。

つまり、キリさんとバーナードさんが陥っている原因はそこだと思う。

つまり、この2人はバイクには乗れるけど、自転車に乗れないっていうあれです。

そうか、なかなか難しいからね。

これは感覚の問題だから説明が難しい。

つまり、この2人はバイクには乗れるけど自転車には乗れない症候群だ。

結論に至る。

現にキリさんはペダルを踏まなければ乗れていたんだから、バイクだったら Ok かもしれない。

「キリさん、そのうちバイクという乗り物の魔道具を作りますので、期待していてください」

そう言ってみた。

自転車の普及にはやはり向き不向きの人がいる事を学習。

「キリさん、自転車の販売は乗れるようになってからの方がいいかもしれないので、自転車練習場みたいな施設を設立するのはどうでしょうか?そこで例えばですよ。必須の講習を受けてその後に練習試験を受け合格出来たら、許可証を交付して自転車を販売するというような形にしたらどうでしょう。そして、そこの練習所の許可証がないと、自転車を販売しないという扱いにするのはどうですかね?何せ自転車を乗る人が間違うと事故につながりますし、そこを考えるとやはり許可証は必要ではないかと。勿論先程話していたバイクや、前回話している車についても、やはり許可証みたいなものは必要だと思うんです。使う人がちょっと間違っただけで大変な事故につながるので」

キリさんは目を輝かせながら私の話を聞いていた。

「エトラ様がそう言うのであれば、乗り物についてはそのように講習を経て、その基準に達したもの以外には売らないような形にします。また、乗り物にも通し番号のようなものを入れ、識別できるようにしておきましょう。そして、もし何らかの事件が発生した場合、その者がその許可書を持っていなかった場合、売った者と買った者、両方に処罰が行くようにしましょう。もちろん売った側が免許を持っているものに売った場合はその処罰の対象外ですが、その所有者が許可証を持ってない者に譲渡した場合、もしくは売った場合、処罰の対象とするのはどうでしょうか?それを法的に認めてもらうためには、国にそれなりの理由と法の改正を求めなくてはいけませんが、大丈夫です。このような便利な道具ですし、直ぐにでも許可が下りるでしょう。

今の王様はちょっとダメですよね。

ヤマタのオロチの影響があるかもしれないから。

「あの、やはりヤマタノオロチを討伐してからバイクや車を作り、素案を作成してから申請しませんか」

本来ならヤマタノオロチの退治後の約束はあまりしたくないのですが、これくらいならいいですかね?

結局、私はレックスさんとキリさん二人にヤマタノオロチ討伐後の約束をしてしまった。

だから絶対に生きて帰らなきゃいけないよねと再度心に誓う。

「分かりました。それまで完璧な素案を作成しますね。きっと、この素晴らしい道具は馬に代わって軍隊にも起用される事でしょう」

いや、軍隊が馬に騎乗するのではなく、自転車をこぐ姿なんて正直想像したくないです。

お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

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