私達って似た者同士ですね
私は思いっきり仕事モードで町を歩いた。
そんな私にレックスさんは気にもとのず、町を案内してくれる。
「ここのサウスでも有名な大きな図書館です」
さすが前王妃様を出した領地なだけあり図書館の大きさも半端ない。
お城か?と思うほどの大きさを誇る図書館。
レックスさんの説明を聞くとこの図書館は書籍を置いている他にも、いくつかの研究室があり国の発展に大いに貢献して来たらしい。
「なので、これほどの大規模な建物になっているんです」
ちょっと見たいとは思ったが、この大きさの図書館を見るには2時間の時間では足りないように思われ、断念せざるを得なかった。
私が生きて帰ってきたらここへ寄りたいなぁ。
そんな事を考えていると
「この旅が無事に終わったらまたここへ来ましょうか?」
とレックスさんが声をかけてくる。
これから一緒に死出の旅に出向くというであろう彼からそんな提案をされるとは、私は出来るだけ旅の後の約束はしないようにしてきた。
それは、必ず守れる約束ではないからだ。
けど、何気ないレックスさんからの提案に、なんとなく明るい未来が見えてきそうで思わず約束を取り付けてしまった。
「はい、是非来ましょう」
出来るか出来ないか分からない約束。
レックスさんとバーナードさんはレンジさんの依頼を受けて旅に同行している。
ただし、バーナードさんは国境までの同行で、その後はレックスさんと二人での旅になる。
何せ、バーナードさんは冒険者として有名らしく、面割れしているからだ。
だから、旅の最終はレックスさんと二人だけになる。
こんな年端も行かぬ子供に死ぬのを覚悟で旅をさせている私にも問題があるが、レックスさんはレンジさんからどんな報酬を得てこの命懸けの旅に赴いたのだろうか?
「レックスさん、今更ですが、この旅は本当に危険なんです。命の保証もありません。それでも一緒に来て貰えるのですか?」
本当に今更だ。
「勿論です」
ついでに言えばこんな町のど真ん中で聞く内容でもない。
「どれだけの報酬がレックスさんを死に急がせているんですか?」
レックスさんは一瞬目線を下に下げる。
「自分の愚かさが招いた結果、不幸にしてしまった方を助けて貰う交換条件で。俺にはそれしか出来ませんから」
自嘲するような薄笑いを浮かべるレックスさん。
けど、その為にこんな危険な依頼を受ける必要はないと思うのだ。
「その人も、そこまでレックスさんに求めていないと思います。自分の命は自分で大切にしなくては」
まぁ、自分にも言えるけど、これは世界がかかっているからね。
それに、自分の代わりに誰かが生贄になるなんて知らないフリは出来ないから。
「何か、私達って似た者同士ですね。では尚の事、旅が終わったらここに来ましょう。世界が楽しい事だらけだと言う事を私がレックスさんに教えますね」
ニヤリと笑い私はレックスさんに宣言した。
お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。




