市場調査してみた
サウスの街は物も豊富で沢山のの食材や工芸品、そして色々な物資が集中している。
香辛料はちょっと偏りがあり、ヤマト島で手に入るような香辛料は残念ながら見掛けなかった。
ここに店舗を出店したら調味料も購入できるように販売するのも良いだろう。
料理と調味料の販売は一石二鳥ではないだろうか。
ヤマト島は基本的に今まで交流がなかったために外貨を稼ぐ機会が全然なかったようで、自分の島の独自の食形態を形成していた。
どちらかというと日本風の調味料が多く、中には中華料理のようなものもあったが、まぁ、基本は近代日本の食文化に近いものを感じた。
この国に来てから色々な食べ物を見たが、どうやらフレンチと言うよりはイタリアンに近い食生活が多く、どれもそれほど凝った料理ではないようだ。
片田舎の郷土料理的な感じと言った方が正しい。
そして、あまり甘味には力が入っていないようだ。
その最もたるものがお菓子だ。生憎と、お菓子作りは得意ではない。
シュークリームを作ろうとしてシューが膨らまなかった位には不得意だった。
でも最低限ショートケーキはあってもいいと思う。
誕生日にはケーキでお祝いしたいのだが、この世界にそういうものはない。
スコーンに色々なジャムとか、クッキーとかそういったものが主流で、ふわふわのケーキの類はないのだ。
あってもホットケーキだろう。
蜂蜜をふんだんに使ったホットケーキが贅沢品で、貴族や裕福な家庭でのみ食べられている。この世界にケーキを出したら、本来のショートケーキとかふわふわのスポンジを使った物を出したらどうなるんだろうか?
学校時代の家庭科でやったことがある作ろうと思えば作れる。ヤマタノオロチの試練から帰ってきたら甘味にも手を出そうかな?と思ってしまった。
この世界にショートケーキの幸せをみんなに届けたい。
そう新たな目標を立てて、私はヤマタノオロチに挑むことにした。
一通り見て回り結局テイクアウトするようなお店がないことで断念。
市場に行き食卓に並べるための食材を購入していく。
タッパーがあれば便利なのにと思いながら「鍋はお持ちですか」とか聞かれながら、タッパーを作るのと固く誓う。
だた、私はプラスチック系の素材を作るとか、そういう知識がない。
ここは知識のある人に手伝ってもらうのが得策だろう。
後でレンジさんに相談してみよう。
しかし、レンジさんって本当に電子レンジを思い出すよねぇ。
やっぱりタッパーは必要ですよ。
そんな訳でコッペパンと味付け肉とチーズ等を購入して手作りでサンドイッチを作ることにした。
残念な事に、サウスの街のパン屋さんはまだお惣菜のパンは売っていないからだ。
「エトラさんの手作り、楽しみにしていますよ」
レックスさんのヨイショに思わず頭が垂れる。
識字率も低く、最低賃金もないようなこの世界はそれ程多くの食べ物がない。
いや、食べれる物を食べ物だと気付いていないと言うべきか。
因みに柿は渋みがあると思われていて、食べる人はいないらしい。
そこから認識を変えて行かなければいけないのだろう。
将来的に色々と食生活に対して、美味しいものを美味しいだけ提供できるようになればいいのにと思う。
外食にしても贅沢な部類に入り、相当裕福な人達しか使用していない。
大衆食堂みたいなのもあるが、それにしたって贅沢品だ。
値段もそんなに安いわけではない。
平民でもある程度裕福な所以外は外食はしない。
その最もな理由として、都市部に運ぶ野菜や肉の運搬料と時間もがかなりかかり、なかなか新鮮なものが手に入りにくいのが本音らしい。
野菜も鮮度が落ちており、多少鮮度を戻すような裏技を使っていることもあるが、それでもやはり鮮度は落ちるので、生野菜をそのまま使うというような料理は出回ってはいない。
必ず煮るかむすか炒めるかしている状態でだなのだ。
つまり、温野菜が主流になっている。
そして、ドレッシングだが、それほど種類はない。
この世界のドレッシングはフレンチドレッシングが殆どで、他のドレッシングは見かけていない。
ドレッシングもちょっと考えた方がいいのかもしれない。
色々あるよね。
ああ、商売のアイディア差尽きない。
お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。