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朝食は惣菜パンで

翌朝、リナさんに朝食を事前にお願いしており転移魔術で取りに行く。

「リナさん、おはようございます」

「おはようエトラちゃん」

リナさんは朝早くから私の祖父母のお店に行き、惣菜パンを大量に仕入れてきてくれていた。そしてリナさん特製の温かいスープの入った大きな入れ物、そして、サラダと果物も添えた大きなバスケット四つ分を私に手渡す。

「ありがとうございます。こんなにいっぱい大変だったでしょう」

「父に手伝ってもらったから大丈夫よ。キリとエトラちゃんの為なら父はなんだってしてくれるわ」

ウシオさんとリナさんは本当に仲の良い親子だと思う。

友人のような関係にも見えるのが正直羨ましい。

「リナさんありがとう。ウシオさんにも宜しく言って下さいね」

私はそう言うと転移魔術を発動させる。


こんなに大量の食材を果たして、朝から全部食べられるだろうか?疑問であるかと思うだろう。あの大食漢のバーナードさんがいないのに、誰がこんなに食べるのだろうか?その疑問はすぐに解決する。

食卓に並べられた珍しい惣菜パン。

それを目を輝かせながら見るユリウスさん。

「このような食べ物は初めて見ました」

うん、そうだよね。

お貴族様が惣菜パンを食べるなんて正直想像できません。

例えピクニックに行ったとしても、側仕えの使用人がフルコースを用意するのが貴族様なのだ。

こんな庶民的な食べ物はきっと初めてだろう。

私はユリウスさんに食べ方を説明しながら食べる事にする。

何せ、ユリウスさんはフォークとナイフを探しているようだから。

「では、手始めにコロッケパンを」

私はコロッケパンを両手で掴み躊躇いなくパクリと食べてみせる。

ユリウスさんはとても驚いたように私を見た。

「フォークやナイフは使わないのですか?」

そうきますよね。

分かります。

手で食べる?なんて、普通のお貴族様はしないですもんね。

だからお寿司も手ではなく箸を使って食べたのですから。

この世界は基本フォークとスプーンとナイフを使用して食事をする。

箸という文化はヤマト島では普通だが、この国ではそれほど浸透しているわけではない。

マナーの一環として教えこまれているらしいが、普段使い慣れないものを好んで使う人はいない。

それなのに、昨日の昼食の時ユリウスさんは箸を使った。

それに習うようにレックスさんもキリさんも箸を使っていた。

だからきっとユリウスさんは手で食べるということをしたことがないのだろう。

何かあったかなー?手で食べるような食べ物。

私の周りの方達は皆さんフォークとナイフで食べていたからね。

果物だってそうじゃない。

イチゴだってフォークとナイフを使って食べていた。

ありえないヘタをつかめばいいじゃんかと思ったのは、前世の私の悪いところなのかもしれない。

お上品に食べる。

その格好はやっぱりお貴族様なのだろう。

レンジさんは私にあわせてイチゴのヘタを持ち食べてたんだけどなー。

あれが出来る大人の対応だとおもうんだよ。

話は戻るけど、ユリウスさんは私を見ながら同じように惣菜パンを手に持ち、パクリと食べる。

すると驚いたような表情になり惣菜パンをジッと見つめる。

「このような簡易的な食事が、こんなにおいしいとは驚きだ」

ああ、そうですよね。

簡易的な食事ですよね。

どう考えても手間暇かけているようには見えませんもんね。

庶民のひがみモードに突入してしまったのは致し方ないと思う。

そんな私をユリウスさんはスルーしながら次々と惣菜パンを手にする。

今日の惣菜パンはコロッケパンにたまごサンド、ローストビーフとレタスが挟まったパンに照り焼きチキンが入ったパン。

そして、焼きそばパンだ。

焼きそばという麺料理もこの世界にはどうやら浸透していないらしく、最初はナポリタンバンで出していた。

けど、ヤマト島に行ってラーメンがあることに気づき、もうこうしたら焼きそばパンもありじゃないか?と思ったのは言うまでもない。

そして私は焼きそばパンを作った。

だって美味しいじゃん焼きそばパン。

スパゲティパンも美味しいけど、やっぱり鉄板料理の焼きそばパンは捨てられないよね。

ユリウスさんはどうやら焼きそばパンを初めてのようで

「何だこの黒っぽい麺は!!」

と驚きながらもパクリと食べていた。

そして、ユリウスさんはその味に魅了されたようだ。

「こんな美味しい食材があったなんて知らなかった」

と感嘆する。

ええ、そうですよね。

美味しいですよね焼きそばパン。

私はユリウスさんに次々とお惣菜パンを勧めていたら4つあったバスケットの中身の食材はあっという間に空になってしまった。

お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

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