ウニの信者を作ります2
「それではまず醤油という。こちらの薬味を使いまして、お寿司というものを食べてみましょう」
私はそう言って醤油皿に醤油を少し注ぎ、お寿司を横に倒して箸で挟むように寿司を取る。
そしてネタにちょっと醤油を漬けて食べた。
うん、上手い。
ワサビは少し少なめで頼んでいたのでそれ程鼻にツーンとこない。
「今のは箸を使った食べ方です。次は手で食べる方法をお見せします」
私はそう言うと三本の指で寿司をキレイに掴むとそのままネタに醤油を漬けてパクリと食べる。
うん、やっぱり上手い。
「どちらのやり方でも大丈夫です」
「なるほど。そのように食べるのですね」
ユリウスさんはそう言うと箸でチャレンジ。
箸を寿司を上手に掴む、そしてネタの部分にちょんと醤油を漬けて食べた。
「これはなかなかですね。ところで、なんか涙が出てくるのですが、このツーンとするような感じは何でしょうか?」
ユリウスさんは涙目になりながら私に尋ねる。
ワサビは少なめにして貰ったけど、やはり初めてだからか、鼻にツーンとくるようだ。
「あー、それはワサビですね。そんなに入れてはいないんですけど、どうやら初体験の方には結構ツーンときますよね。慣れて来るともっと多めにいれる方も多いんですよ。最初はちょっと抵抗あるかもしれませんが、慣れてくるととてもおいしい薬味なんです」
「なるほど、了解した」
ユリウスさんは鼻を軽く摘んでそう言うと「でも、とても美味しいですよ」と、付け加えてくる。
「今日は少し少なめにしてますので、慣れてきたら量を増やすのもありです。そういう時は薬味もりもりとか言っていただければいいですよ」
と、ほんの冗談で言ってみた。しかし、ユリウスさんは馬鹿正直にその話を聞いて「分かりました」と言ってくる。
「いえ、すみません。冗談です」
さて、ウニの信者を増やすために、私はどのタイミングでユリウスさんにウニを勧めるかを黙索する。
まずはマグロで舌を慣らし、次は何にしよう?エビかな?
「では、次はエビです」
そう、これは生エビです。
結構大きめのエビ。
それを箸で取り、ちょんと醤油を漬けて私は食べてみせる。
やっぱりエビは生に限るなあと考えているとレックスさんも私を真似てエビを食べる。
すると
「なんだ。これは本当にエビかプリプリしている」
と、すごい大絶賛。
おいしいんですよねぇエビ。
じゃあ、次は何にしますかね?と思案する。そろそろイクラにしようか。
あんまりお腹がいっぱいになってくると美味しさが半減するかもしれないからね。
じゃあ次はイクラです。
私はイクラの軍艦巻きの中からちゃんと出ているキュウリを箸で取ると醤油を漬けてイクラニ醤油を漬ける。
そしてパクリ。
濃厚なイクラの味がとても美味しい。
そして、イクラが口の中ではじけると再び濃厚なイクラの味が舌に染み渡る。
このハーモニーがたまらない。もっと食べたいと思いながら咀嚼する。
それに習うようにレックスさんもユリウスさんもキリさんもイクラを食べた。
「なんと、これ程とは」
感嘆するのはまだ早いですよ。
そして最後これだ、ウニです。「じゃあ、次はウニを食べましょうか」
と言って私はウニにガリで醤油をちょんちょんとつけパクリと食べた。
「うーん、おいしい」
と思わず声に出ていた。
キリさんも負けじとウニをつかみちょんちょんとガリで醤油をつけるとパクリと食べる。
「やっぱり、ウニは美味しいですよね。エトラ様」
そう言って、キリさんは二個目に手をつけようとする。
それを見たレクスさんが負けん気がでたのか、キリさんに負けずとウニに手を出した。
ちょんちょんとガリで醤油を漬けパクリと食べる。
「なんて美味しいんだ。こんなに美味しかったなんて、人生損をしたようですよ」
と大絶賛。
「うん◯に似てるからちょっと抵抗あったけど、これなら何個でも行けるよ」
と次々に手をつける。
それ見たユリウスさんがそんなに美味しいのか?というような疑心暗鬼の表情になっている。
決して担いでも詐欺でもありません。
本当に美味しいんです。
レックスさんとキリさんが次々とウニを取って食べる所を見てヤバいと思ったのか、ユリウスさんもウニに手を出した。
そして醤油を漬けてパクリと食べる。
最初は目を瞑って苦渋の表情でウニを食べていたユリウスさんは、次第にその目は見開かれ、「何だ?これは」
と、目を輝かせている。
しかし、その頃にはもうウニはすでに完売しており「もっと食べたかったのに」と、とても残念がっていた。
次回はウニ丼にしますね。
と密かに思ったのは言うまでもない。
お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。