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ウニの信者を作ります1

「そちらにこれを並べて頂けますか?」

キリさんはレックスさんに抑揚のない声で指示を出す。 

「分かりました。キリさん、このような感じですか?」

そして手際良く並べていくレックスさん。

何故か会話の内容は普通なのにレックスさんとキリさんはバチバチと目から火花が散りそうな勢いで睨みつけている。

キリさんのあれこれって、もしかして二人は犬猿の中?と思ったのは言うまでもない。

そんなことを思っていると、突然窓ガラスをビリビリとした振動が響き、外を見るとワイバーンがさっきの空き地に降り立つところだった。

「どうやら友人か来たみたいですね」

レックスさんはそう言うと「ではお出迎えしてきます」と、私たちに後のことを頼んで外へと向かった。

レックスさんが部屋を出てから、私はキリさんに何となく先程のことを聞いてみた。

「あの、もしかしてレックスさんとはあまり仲がよろしくないのでしょうか」

と、初対面なのにそれはないだろうと思いながら問い掛けると、キリさんは深い深いため息をつく。

「なんとなくですね。先入観が邪魔をして苦手意識が出てしまっていたようです。すみません、エトラ様に心配をかけてしまいましたね」

「いえいえ、そんなことないですよ。ただキリさんらしくないなと思っただけです」

そう言うと、キリさんは苦虫を噛みつぶしたような顔になる。

「さて、お客様も来たようですし、仕上げに取りかかりますか?」

そう言ってキリさんは手際よく食材を並べていく。

レックスさんの友達は一人のようでワイバーンから降り立つとすぐにこの部屋へとやってきた。

「初めまして。ユリウスと言います」

扉を開けて、まず最初に私の方へと顔を向け挨拶をする。

とても紳士的な雰囲気の方で私に微笑む姿がカッコイイ。

見た感じ完璧に貴族ですよね。という雰囲気を醸し出している。

「こちらこそ、エトラ・カーターです。いつも我が商会をご贔屓にして頂きありがとうございます」

と言う。

「クーラーとかヒーターとかとても素晴らしい魔道具ですね。とても重宝してますよ。夏は涼しく、冬は暖かく、もう快適です。また近々離宮を建てる予定ですので、その時にはまた購入させて頂きますね」

離宮?どういうこと?別荘とかではなくて離宮?もしかしてユリウスさんってめちゃくちゃ高貴なお方なのではないだろうか?と思わず、レックスさんを見てしまった。

レックスは頭をフルフルと横に振り、唇に手を当てシーっという合図を送る。

これは知らない振りをしろということだろう。と、長年の経験が私にそう告げた。

分っておりますとも、ええ日本人の得意技、聞いてるけど聞いてない振り。

うん、スキル発動です。

では、まずはお昼ご飯でしょう。

「今日のお昼の品は全部カーター商会のチェーン店で出している食材を揃えております。まずこちらお寿司セットです。特上寿司の握り寿司がこんなにいっぱい。特におすすめなのはこのイクラですね」

実はまだイクラとかウニは一部貴族にしか浸透していない。

王家にも一応レンジさん経由で献上したが、どうも見た目がね、ほらあれに似てると言われて、ちょっと見た目でもう食べていただけなかったようなんですよね。

それに、レックスさんとユリウスさんはウニを見てしかめ面になった。

うん。そうですよね。あれに似てますもんね。

確かに抵抗ありますよね、と思うと、もうウニの美味しさを理解してもらえないことがちょっと悲しいよ。

よし、今日はウニの信者を一人、いや二人増やそうではないか。

「では、まずちょうどお昼ですし、食事にしましょうか」

そう言って、私はユリウスさんを食卓へと促す。

それに続いてレックスさんとキリさんも着席。

位置的にはユリウスさんの左隣にレックスさんが座り、その対面に由衣さんの対面に私。右隣がキリさん。私はユリウスさんの正面に座る。

けど、キリさんとレックスさんを対面に座らせてよかったのだろうか?と、ちょっと疑問にも思うが、座ってしまったものは仕方がないのでこのままにしましょう。

隣り合わせもちょっとだしね。

お読みいただきありがとうございます。また読んでいただけたら幸いです。

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